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小脳をサボらせない!感覚刺激を増やしてエラーや痛みを解決。自宅でできる簡単エクササイズを紹介

視覚や前庭系や体性感覚から入力される情報が不足すると、それに基づいた設計されるボディイメージにエラーが生じ、パフォーマンスの低下やケガにつなったり、慢性痛につながるわけです。ここで重要なのは、正常に働いてない各種感覚の情報入力を正常化することです。ちゃんと情報が送れるように訓練することによって、ボディイメージとそこから生まれる動作を最適化させることができます。今回は、感覚の正常化とボディイメージの改善に使える自宅でもできる運動を紹介したいと思います。

ボディイメージと左右の脳

皆さんもご存知だと思いますが、一般的に右脳は左半身の動作を担当して、左脳は右半身の動作を担当しています。ちなみに、右大脳からの運動指示は左の左脳を介して左半身にアウトプットされていきます。この間、感覚器から入力される情報を整理しつつ、「もっとゆっくり動いて」「もっと早く動いて」「もう少し手前で止まって」といった動作の修正を絶え間なく行っているのです。左大脳と右小脳でも同様に、情報のやり取りが常に行われています。

運動のエラーを減らしパフォーマンスを高めたり、慢性痛の改善や予防をするには、この情報のやり取りをいかに有益にするかが大事です。そこで必要にのは、いかに体に多くの情報を入力するかという観点です。一例を考えてみましょう。

皆さんの利き手はどちらですか?右手の人の場合、基本的に食事では右手で箸を持つと思います。これを左手に持ち替えたらどうでしょう?当然、箸使いに慣れていないのですごく食べるのが大変になると思います。適切な量の食料を箸でつかみ、落ちないように口へと運ぶ。これらの動作をエラーなく行うには、相当な集中力が必要なはずです。それでも、1週間や2週間、あるいは1ヶ月その生活を続けることで、少しずつ左手での箸使いにも慣れていくはずです。これはつまり、右大脳と左小脳が一連の動きを学習してボディイメージを再構築し、左手で箸を使う動作をより洗練させることができたことを意味します。

もしもこれを数年、数10年と続ければ、右手でも左手でも同じレベルで箸を使えるようになるかもしれません。言い換えれば、この状態になった時点で小脳や大脳は「左手で箸を動かす」という動作に「慣れた」ということができるでしょう。結果、初めて左手で箸を使った時ほど、多くの情報処理が行われなくなります。

このことは、決して悪いことではありません。身体の慣れが起きることで、反射的に同じ動作ができるようになるのですから。スポーツにおけるパフォーマンス向上において、「慣れる」というのはとても大事な工程です。

しかし今回のテーマで考えると、動作への慣れ→たくさんの情報処理が行われなくなるというのは、大脳や小脳の機能低下につながります。そのため、なるべく大脳や小脳が飽きないよう、情報刺激を多く得られるような運動をどんどん行っていく必要があります。

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