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椎間板・椎間関節の構造〜組織にかかる負担とヘルニア・脊柱菅狭窄症との関係性〜

今回は主に椎間板と椎間関節、この2つの組織について解説します。

椎間板は、簡単に言えば椎体と椎体の間に存在しているその板です。そして、椎間関節は上の椎体と下の椎体を結ぶ組織であり、椎間板と椎間関節があるからこそ、私たちの脊柱は可動性を得てさまざまな動きを実現できます。

椎間板と椎間関節は、腰痛の2大疾患であるヘルニアと脊柱菅狭窄症において、深いつながりを持っています。椎間板と椎間関節を理解することによって、腰痛に対する知識を深めることができるでしょう。

椎間板にかかる負荷の違い

腰椎への負担は、椎間板の状態で変化するということで言われています。

椎間板そのものに着目をしたとき、圧が加わりましたとか、屈曲をしましたという動作時に、どれくらい圧が加わるか、どれくらいの力が加わるのかというのは、その変性具合・で変化します。

椎間板を、後方・中央・前方とエリアを分けた場合、前屈をすると100%の付加が後方8%、中央48%、前方44%で分散されるとされています。一方で変性をしてくると、後方40%、中央41%、前方19%というふうに、負担のかかる部位がより後方に移動していきます

年齢など複数の要素によって椎間板が変性すると、脊椎の後弯運動を行ったとき、その状態でさらに重いものを持った場合などに、負担が後方に集中して髄核が後方に飛び出て神経を圧迫。そしてヘルニアになってしまいます。

変性すると後方への負担が増すということは、椎間関節の後方にも負担がかかりやすくなります。ご高齢になって椎間板がなくなってくると、ヘルニアになる方はむしろ減り、椎間関節などが原因になる脊柱菅狭窄症の問題が増えていきます。逆に若い人は脊柱菅狭窄症のリスクは少なく、中学生ぐらいからヘルニアのリスクが上がっていきます。

現場でクライアントから「腰が痛い」と相談を受けた場合、何が原因かを探っていきますよね。ここまでの話から言えることは、まずは問診の前に年齢をお聞きします。

絶対にそうとは言えませんが、極端に若いorある程度高齢であるということになった場合、その時点で椎間関節に問題があるかもしれない、または脊柱菅狭窄症かもしれないなというふうに考えることができます。

一方で若い人であれば、ヘルニアかもしれないと考えられます。腰痛の原因や組織の変性の特徴において、年齢差などを念頭に置いて接するだけでも、現場である程度予測が立てられるようになります。

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