内受容感覚を生かして筋トレの「効き感」を改善する方法~メンタル改善にも効果あり?~
パーソナルトレーナーとして多くのクライアントを見ていると、こんな質問をされるときがあります。「狙った筋肉に"効いている"気がしないのだけど、どうすればいいですか?」。例えばクランチなどをやっても、腹筋ではなく首やももへの負担を強く感じてしまうというのです。ある時は、「なんだか背中に効いている感じがする」と回答する人もいました。
運動に慣れていないと言えばそれまでですが、こうした悩みに直面する人は、大抵「"腹筋を使って運動する"ためのボディマップが形成されていない」と捉えることができます。このままで腹筋運動を何度行っても、ターゲットにしたい筋群(腹直筋や腹斜筋)を鍛えるのが難しく、腰などを痛めてしまうかもしれません。今回は、こうした問題にどう対処していこうか?というのをテーマにアプローチを考えていきたいと思います。
内受容を活かしたアプローチ
いきなりですが、皆さんは今座っていますか?もしそうであれば、やや前かがみの姿勢で背中を丸め限界まで息を吐いてみてください。呼吸には腹筋群(コアの筋群)が強く影響するので、息を吐くことでコアの筋群が収縮されていくのを感じられると思います。
ここで生かされているのは、「内受容感覚」です。内受容感覚とは、呼吸や痛み、体温、心拍、胃腸の動きといった生理的な状態に関する感覚です。内臓感覚と言い換えてもいいかもしれません。ちなみに、視覚・聴覚といった外部の情報に関する感覚を「外受容感覚」と呼びます。
上にも書きましたが、内受容感覚は内臓の動きを受容し、情報を脳へ伝達しています。息を吐くことで肺が収縮するのと、腹筋群の収縮という体性感覚を合わせて脳へ伝えたことで、一時的に情報量が増えたわけです(ちなみに、心拍や呼吸といった身体内部の状態変化の知覚に深く関与するのは「島皮質」です)。
呼吸に関わる筋群は、これだけあります。ここに腹筋群も含まれているので、今回紹介したアプローチ(呼吸による内受容感覚+収縮運動による刺激)が、腹筋群を知覚するのに有効というわけです。
内受容感覚を生かした腹筋運動
ここからは、もう少し腹筋群全体のアプローチを紹介していきます。各筋群の起始停止や作用、支配神経も復習しつつ、アプローチを学んでいきましょう。
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Brain Special Magazine
運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。
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