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翼状肩甲骨の問題点と改善アプローチ&トレーニング。背中に片翼が生えている人は要注意!【解剖学を極める】
翼状肩甲骨は、上腕の挙上動作や肩関節の屈曲動作、あるいは肩関節の外転動作時に、肩甲骨の安定性が保持できなくなる症状を指します。後ろで肩甲骨の挙動を見ると、内側縁が浮き上がってまるで鳥の羽のように見えることから、この名称が付けられました。
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翼状肩甲骨は、高齢者の方だと意外と顕著に見られます。若い方でも、プッシュアップをした時の背中を見てみると、明らかに左右の肩甲骨の浮き方・沈み方が違うなと観察できる人がよく見られます。
翼状肩甲骨の原因として挙げられるのが、前鋸筋の支配神経である長胸神経麻痺です。
長胸神経は、脊髄神経から分岐して、頭や首、上肢を介して鎖骨・上腕・前腕・手へと走行していく腕神経叢に含まれる神経です。長胸神経はC5~7(頚椎)から分岐して、前鋸筋を支配します。長胸神経は体表に近い部分を長い距離走行する神経であるため、過伸展や外傷で傷つきやすいとされています。スポーツ中に限らず、長時間バックパックを背負っている状態(肩に負荷がかかり続ける状態)で損傷することもあります。
ただ、パーソナルトレーニングなどでクライアントを見る際、翼状肩甲骨のほとんどの原因は「前鋸筋の機能不全」であることが多いです。大手フィットネスクラブでは、幅広い年齢層のお客様が多いですが、パーソナルトレーニングの場合、コアターゲットは20代~30代のケースが多いです。こうしたお客様に見られる翼状肩甲骨は、神経麻痺よりも前鋸筋の機能不全、筋力不足、モーターコントロール上の不調、あとは構造的エラーのいずれかが原因だと考えられます。
前鋸筋の筋力不足、モーターコントロール不足をチェックする方法
翼状肩甲骨が起きているかをチェックするには、プッシュアップ動作を行ってもらうのが手っ取り早いです。それ以外では、ハンズオンヒップテストというチェック方法があります。直訳すると「お尻(腰)に手を置く」ですが、立位姿勢で腰に手を当てた姿勢を取るのが、このテストの実践方法です。
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画像では腰に目を向けていますが、実際には直立した状態で行いましょう。この時、軽く背中を寄せるので肩甲骨が浮きます。この時、肩甲骨内側縁の浮き具合に左右差があった場合、浮き具合が強い方が「前鋸筋の機能不全」と判断できます。
肩甲骨は腕と連動して動きます。腕が内旋動作を行うと、肩甲骨も内旋し胸郭から離れてしまいます。つまり、肩甲骨の内側縁を胸郭から離れにくくするには、この逆の動作=肩甲骨の外旋動作が必要というわけですね。そこで役立つのが、肩甲骨内側縁の前面部分から胸郭表面に付着している前鋸筋というわけですね。
ちなみに、肩甲下窩(肋骨が形成する大きなくぼみ)から上腕骨へ付着している肩甲下筋を鍛えることでも、肩甲骨の安定性を改善できます。
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