UXライターがテキストを書くときに気をつけている9つのこと
4月に人生初の著書となる「秒で伝わる文章術」を出版しました。
著書の中でも「短いは正義」ということを繰り返し伝えていて、とにかくテキストは短く書くことが大切だと思っています。
なのですが、本というメディアの特性上、数千字の数ページで出版するわけにもいかず、ある程度のボリュームになっています(それでもかなりコンパクトにはまとめているのですが)。一冊読み切るにはそれなりの時間を要するので、まとまった時間をなかなか取れないという方もいると思います。
そこで今回は、特にプロダクトのテキストを書くとき私が気をつけていることを、シンプルにまとめたいと思います。業務でプロダクトのUIテキストを書くことがあるけど、チームにUXライターがいない、という方は、このnoteをチェックリスト的に使っていただけると幸いです。もし役に立ったら、ぜひ「秒で伝わる文章術」を買ってみてください…!
それではさっそく始めていきます。
①一文字でも短くする
ユーザーはUI上のテキストを読んでくれないので、少しでも読んでもらえる確率を上げるために、とにかく短く書く必要があります。特にUIテキストにおいては、UI上のスペースが限られているため、長いと物理的に入らないことがあります。プロダクトマネージャーやUXデザイナーに「ここ3文字削ってもらえますか?」みたいなことを本当に言われます。
これは、例えば漫画の吹き出しの文字数に関しても同様で、漫画家さんは一文字でも少なくするように気をつけているそうです。
具体的には、書かなくても伝わることは書かない(主語や目的語など)、短い言葉で言い換える(できます→可能)、文章ではなく単語にする(ロックを解除する→ロック解除)などにより短くしていきます。
②難しい漢字はひらがなで書く
UIテキストに漢字が多いと複雑で難しく、使いにくいサービスであるという印象を与えるので、なるべくひらがなで優しくわかりやすく書くようにします。
ただ、何でもかんでもひらがなで書くとまた読み難くなるので、バランスに気をつけることが大切です。一般的には「ひらがな7:漢字3」が読みやすいと言われています。
基本的にひらかなで書いたほうが好ましい漢字に関しては、「秒で伝わる文章術」で表にしてまとめているので、興味があればぜひ見てみてください。
③丁寧な言葉遣いにしない
日本人はその国民性から丁寧な言葉を使いがちですが、余計な文字が増えれば増えるほど、本来伝えたいことが伝わらなくなります。丁寧にするとテキストが長くなり漢字も多くなって本当にいいことがないので、なるべくシンプルな言葉で簡潔に書くようにします。
また、電話や窓口で事務的な対応をされると企業との距離を感じるように、堅苦しい言葉遣いをするとユーザーはプロダクトとの心理的距離を感じます。ただ、これもやり過ぎると過剰で馴れ馴れしい印象を与えるので、伝えたい内容にあわせて、不快感を与えない範囲で考えることが大切です。
④ユーザーが使う言葉で書く(専門用語、技術用語を使わない)
ユーザーが理解できな専門用語や技術用語を使うと、ユーザーに不安感を与えるため、ユーザーが普段使っているわかりやすい言葉で書くようにします。特にエンジニアからテキストを依頼された場合、プログラムの英語をそのまま翻訳したような技術用語を用いて書かれた仮テキストが入っていることが多いので、しっかりとユーザーが使う言葉に翻訳する必要があります。
また、起こった事象をすべてをユーザーに伝える必要はないので、最低限の文字数でユーザーに伝えるべき情報のみを伝えるようにします。
⑤ポジティブな言葉で言い換える
言葉そのものが与える印象は非常に強力です。人間の脳は自分の損害に繋がる事象に対して過剰に反応するようにできているので、ネガティブな言葉が入ると、必要以上に不安を与えることになります。なので、なるべくネガティブな言葉は使わず、同じ意味を持つポジティブな言葉で言い換えるようにします。文章全体を書き換えることでポジティブに言い換えられる場合もあります。
⑥箇条書きにする
プロダクトのベネフィットなどを伝えるときは、文章ではなく箇条書きにします。箇条書きにすることで、視覚的な情報の処理が容易になるので、ユーザーが情報を理解する速度が圧倒的に上がります。また、全体の文字数を削減する効果もあります。
特にスマホのUIは左右が短く縦に長いので、テキストを横に伸ばすよりも、縦に伸ばすほうが、視線の動きと一致しているので情報が頭に入りやすくなります。
⑦ボタン文言はユーザー側の立場で書く
UIテキストは、基本的にはプロダクトの声として、ユーザーに向けて情報を届けるような書き方をしています。しかし、唯一ユーザーの声として書いたほうが良いのが、ボタン文言などのCTAです。
ボタンはユーザーがタップしたりクリックしたりするときに見る文言なので、ユーザー自身の行動と一致している必要があります。「今すぐ購入する」はボタンをタップするときのユーザーの心の声になりますが、「今すぐ購入しましょう」はユーザーの心の声ではなく購入を呼び掛けるプロダクトの声です。ボタン文言を自分の心の声として認識できたほうが、スムーズに行きたい場所に遷移できるのです。
⑧状態ではなく行動を伝える
エラー画面などのUIテキストでは、ただ状態を伝えるだけでなく、ユーザーが次にとるべき行動をしっかりと伝える必要があります。
これもプログラムのエラーなどはただステータスを返すだけのことが多いので、そのような状態になった時に、ユーザーは次にどのような行動をとるべきなのかをしっかりとプロダクトマネージャーに確認し、その行動をユーザーに伝えるようにしています。
⑨ハードルの低い行動を訴求する
Googleのホテル検索のA/Bテストの事例では、CTAを「部屋を予約する」から「空室を検索する」に変更したことで、エンゲージメントが17%向上したそうです。
また、有名な事例として、オバマ大統領の大統領選のキャンペーンサイトで、メルマガ登録のCTAを「登録する」「参加する」などでA/Bテストした結果、もっとも登録が多かったのは「もっと情報を知る」だった、というものもあります。
このように「予約する」や「登録する」というようなハードルの高い行動を要求する文言ではなく、「検索する」や「情報を知る」のような、ハードルの低い手軽にできそうな行動を訴求することで、より効果の高い結果を得られることがあります。
以上が私がプロダクトのUIテキストを書くときに気をつけている9つのことになります。皆さんがUIテキストを書く際の参考になれば幸いです…!
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