【食レポ】真宗大谷派東本願寺(京都市・お斎/精進料理)
私の記事に関心をお持ちくださりありがとうございます。
お東さん(真宗大谷派東本願寺)は私の実家の菩提寺の本山です。
京都へ行った時にはお参りします。
お斎(おとき)/精進料理について
菩提寺では、毎年の報恩講でご住職の法話が終わると、檀家さんの女性陣が食材を持ち寄って作ったお斎(精進料理)を召し上がっていただきます。
檀家さんが食材を持ち寄って調理することで、徳を積ませるということもあるのでしょうね。
お斎とは、本来、僧侶の食事を指す言葉ですので、私の実家の方では法事でなくてもお斎と言うことがあります。
このほかにも、毎月法話会が行われており、お斎を差し上げていました。
母は嫁いでからずっと報恩講と法話会に伺っていました。
私も母のお腹の中にいた時から、進学のために親元を離れるまでお手伝いに伺いました。
そのころ先々代のご住職のお母様が100歳近くでもお元気で、椅子に座ったまま指示を出され、味見をしてくださっていました。
私の実家では、お盆と法事の時には、母がお斎で覚えた精進料理を作っていただきます。
肉魚介など動物性のものはもってのほかです。
叔母たちと私も手伝って大人、子ども合わせておよそ30人分を作っていた時期もありました。
お東さん(東本願寺)でのお斎
いつものようにお参りをして、めずらしく、すぐには帰らず休憩所で家族と休んでいました。
そのときです。
「本日は、お斎に空きがございます。
ご希望の方は事務所までお越しください。
白書院でお召し上がりいただけます。」
とアナウンスが入りました。
これまで何度もお参りしていますが、こんなことは一度もありません。
「お東さんのお斎が食べられる!」
と嬉しくなって、家族に
「今日のお昼はお斎にしよう。白書院も観られるよ。」
と言いました。
家族の実家の地域も宗派も異なるので、最初はお斎と言われてもピンとこなかったようです。
「え?白書院、タダで入れるの?」
そっちか。
すぐに事務所へ向い、白書院でお斎をいただけることになりました。
指定された時間になって集合場所に伺うと、地方から檀家さんを何名かお連れになられているご住職と、法事が終わったと思われるご家族と、私たち。
急なキャンセルでも入ったのでしょうか。
当日申込みでお斎が食べられることは、まず、ありません。
2週間前までの事前予約となっているからです。
お庭や皇族の方々が出入りする門の内側や、能舞台を観て白書院に入ります。
お席につくと掛紙には『蓮如上人御一代記聞書』の170
御膳まいり候うときには
御合掌ありて
「如来,聖人の御用にて
き(着)・く(食)うよ」と
仰せられ候う
掛紙をはずすと
「食前のことば」
み光のもと
われ今さいわいに
この清き食をうく
いただきます
「食後のことば」
われ今
この清き食を終わりて
心ゆたかに力身にみつ
ごちそうさま
おいしゅうございました。合掌。
7カ国ほど海外旅行に出かけたことがありますが、どこの国にも「いただきます」と「ごちそうさまでした」にぴったり当てはまる言語がなかったように思います。
この言葉は日本特有の誇れるものではないでしょうか。
いつでもどこでも手を合わせて「いただきます」と「ごちそうさまでした」は必ず声に出して言います。
たとえ植物であっても食材となるものの命をいただく、作ってくれた人への感謝の気持ちをあらわすことは大事だと思っているからです。
お東さんのお斎をいただいて思ったこと。
「ああ、母さんの味だ。」
我が家の食事のベースとなるのは、母がお斎で覚えた料理なのだと、あらてめて思いました。
そして、とても可愛がってくださった先々代のご住職のこと。
ご住職は寺の内でも外でもご自宅でも、決して動物性のものは召し上がらなかった。
いわゆる五葷抜きのヴィーガンでした。
どんな人にも同じように接しておられた。
私の「寺で生まれ育ち、仏に仕える人とはこういう人なのだ」というベースになっている方です。
真宗大谷派東本願寺
京都市下京区烏丸通七条上る