手塚治虫 (ジャングル大帝)
(1950年10月号~1954年4月号 漫画少年 連載)
これは、ひときわ輝く手塚漫画の代表作!!
8回本になり何度も描き直ししてその度にストーリーが変わるから、作者本人でさえどの本の筋書きが一番まともなのかよくわからないらしい。(笑)
しかし・・・「あとがき」で作者が書いているのだが、
「ジャングル大帝」の原稿を借りていった男が原稿を返さないまま、お酒に酔いつぶれて自分のアパートで死んでしまい結局その原稿が行方不明になってしまったらしい。
「ぼくは、わが子のように大事な、この「ジャングル大帝」の原稿を失ったことで、声をあげてなきました。」
人間が死んだことより原稿を失ったことで泣いた・・・って、そんなこと公表していいのか~?とちょっと思ったけど、何となくその気持ちがわかる。
今でもその原稿は出て来ていないのだろうか??
そういうわけで、この「手塚治虫漫画全集」の絵は新しく描き直した部分と当時のままの部分が混じっている。
新しい部分の方が線がすっきりして読みやすいのだが、当時の線の「生き生きとした描写」には負けているような気がする。
でも最初と描き直した時とでは15年の間があるから同じに描くのは無理でしょうね。
この作品で私が心に残っているシーンは、
船で生まれたレオがお母さんと別れて海に飛び込む場面。
そして、ラスト・・・。
雪のムーン山のシーン。死にかけているヒゲオヤジにレオが話し掛ける。
「ヒゲオヤジさん しっかりしてください
あなただけは助かる道がある!
あなたは肉を持って毛皮をきて なんとかふもとまで行くのです
それからはドンガ河の流れが あなたをしぜんに運んでくれます」
「レオ どこにその肉があるんだ」
「ここにあるでは ありませんか」
「……!! レオッ!!
……お おまえ なんて おそろしいことを……」
何度読んでも感動するシーンです。