あかちゃんのくに
あのね、きいてほしいおはなしがあるの。
あるとき、姪のスワン(仮名)が、ひみつを打ち明けるように話してくれたお話があります。
もう、今から10年くらい前のことです。
それは、生前記憶の話?胎内記憶?そして、お腹に来る前の記憶。
スワンは、5歳の女の子。私の11歳歳の離れた妹の娘です。
スワンには、生まれたばかりのリッタ(仮名)という弟がいます。
スワンはリッタのお世話が大好きです。ほかにも、お人形やぬいぐるみのおせわでまいにちいそがしいです。
スワンが、わたしにひみつを打ち明けるように言いました。
あのね、きいてほしいおはなしがあるの。
わたしとリッタは、おかあさんのおなかに来る前に、あかちゃんのくににいたの。
あかちゃんのくにがあるんだよ。
私は、ドキドキしながら、聞きました。スワンが、大切な何かを伝えようとしている、そう思った私は、静かに聞くことに専念しようと思いました。二人で、テーブルのところにある椅子に座りました。そして、ひと言も漏らさないようにスワンの話を聞きました。
スワンには、生まれてくる前の記憶があるんだ、と次第に確信が生まれました。はやる気持ちを抑え、スワンの楽しそうな表情を見ながら宝物のような話を聞いていました。
その後、自宅に帰ってノートに書き留めました。そして、スワンから聞いた話を元にイメージした「あかちゃんのくに」の絵を描きました。
私の想像も入っていますが、絵をスワンに見せると、「そうそう、こんなところ!」と喜んでくれ、さほど間違ってはいないようでした。滑り台や、ジャングルジムなど、この世にあるものはあるらしかったです。奥には、小さいあかちゃんのお部屋があり、お世話をしているのだとか。白い服を着ている。本当に楽しいところだそうです。
それから、「わたしもかく!!」と言って、描いてくれました。次々と。
リッタが生まれて、思い出したの。やっとあえたーって思ったの。
リッタとはいつも一緒だったの。
弟がまだお母さんのお腹にいる時、スワンがかいた絵があります。
それは、生まれてきたリッタによく似ていました。
リッタは、まだ言葉は話せませんでしたが、お姉ちゃんのことが大好きで、寝返りもできない時からお姉ちゃんのいる方に体を向け、いつもスワンと一緒にキャハハと笑って、遊びに参加していました。まだ小さいスワンがリッタを抱っこしようとする時には、命懸けで体を硬くして緊張しながら抱かれていたのを思い出します。二人はいつも通じ合っているように思えました。
あかちゃんのくにの絵の話をしている時も、ハイハイをしながら、絵を指さして、何か言っていました。自分もここにいた、とあかちゃんのくにの話をしてくれているようでした。
その頃、あるお子さんが、「あかちゃんのくに」にいたこと話していて、そのことをお母さんがブログに書かれているのを見たことがあります。あ、スワンのと同じ「あかちゃんのくに」だ。と嬉しくなりました。
20代の頃、「誕生を記憶する子どもたち」という本を読んで、とても興味を持っていました。身近な人からも実体験を、いくつか聞いたことがあるので、本当にあることだと信じて疑っていませんでした。
今では、胎内記憶で検索すると、たくさんの記事や動画が出てくることに驚きました。スワンと同じ頃、同じような体験を語る子どもがいて…。いえ、人々の意識が変わってきたことで、そうした見えない世界に目を向けるようになってきたのではないか、と思います。話せるようになってきたというか。意識でもツールの面でも発信できる時代になったのでしょうね。
そういう話をする子どもを見ていると、みんなとても嬉しそうに話しています。
それを聞く方も幸せに包まれていますね。
私は、子どもの話は100%信じています。子どもは正直だからです。
スワンから聞いたお話と絵をまとめて、「あかちゃんのくに」絵本を作ったのは、2015年のことです。手作業で綴じて何冊か作り、家族に配りました。しかし、あまりにコストがかかり、ほしい人の配ることはできなくなってしまいました。
しかし、この話は、子育てをしているお母さんたちが耳を傾けてくれ、自分のこととして受け止めてくれる方は多かったのです。信じる、信じないを超えたところで、心に響くのではないでしょうか。お母さんと子どもさんの絆を感じられたり、出産に不安を感じている方々の力になると聞きました。
私にとっても大切な宝物。どんな形がいいのだろう。何年も模索していました。
noteへの投稿も、このお話を紹介できるかも知れないという思いからでしたが、このお話を書くというのは、自分自身の問題にまず向き合わねばならなかったのかも知れません。時間がかかってしまいました。
そして、お蔵入りしていたもう一つの理由に、作品のデータが、パソコンとソフトの環境の変化からファイルが開けなくなってしまった、という問題がありました。が、時代は変わり、それをようやく復活できそうです。
またあかちゃんのくにのことを書きたいと思います。
絵本も、ご紹介できる時があるかも知れません。
読んでいただき、ありがとうございました。