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育児だけじゃない。介護も個別周知始まります~2025年4月から

育児・介護休業法の改正に伴い、2025(令和7)年4月1日~
介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が事業主の義務となります。

この改正の背景としては、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年問題や介護離職者10万人などの状況があります。

ただ誤解しがちなのは「介護」に関する制度利用の対象家族は、祖父母・両親だけでないこと。配偶者(事実婚含む)、子、兄弟姉妹、孫も含まれます。同居かどうか生計維持関係があるかは問われません。
要介護状態の家族であれば対象です。介護認定を受けていて要介護2であれば要介護状態ですが、そうでない場合は、「常時介護を必要とする判断基準」を用いて対象家族かどうか判断します。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000145708.pdf

※なおこの判断基準は、高齢者を念頭に作られたものであり、子に障害がある場合や医療的ケアが必要な場合にも判断しやすいよう来年度に改正予定です。

介護休業制度は、対象家族1人につき通算93日間3回分割して取得する制度ですが、育児休業と異なり自分が介護するための制度ではありません。
地域包括支援センターのケアマネージャーと連携してデイサービスや介護施設入居など介護と仕事を両立できるような体制作りをするための期間とされています(看取りの場合を除く)。
個別周知をされる企業の人事労務担当者はその点注意して周知する必要があります。

1. 介護申出をした労働者への個別対応

介護に直面した労働者に対して、事業主は以下の事項を個別に周知し、意向を確認する必要があります。

  • 周知事項

    • 介護休業や介護両立支援制度の内容

    • 制度の申出先

    • 介護休業給付金に関する情報(雇用保険加入者は給与の67%支給)ただし、育児休業と異なり社会保険料の免除はありません。

    • 介護保険制度(可能な場合)

  • 周知・確認方法
    面談(オンライン可)、書面交付、FAX、電子メール(希望があれば)など。

※取得を控えさせるような行為は認められません。

2. 介護に直面する前の情報提供

事業主は、労働者が介護に直面する前(40歳)に、以下の内容を提供し、制度への理解と関心を深める機会を作る必要があります。40歳とされたのは、介護保険料の徴収が始まるタイミングだからです。

  • 情報提供期間

    • 労働者が40歳に達する年度(1年間)

    • 40歳の誕生日から1年間

  • 情報提供事項と情報提供方法は個別周知と同様です

3. その他の改正点

  • テレワークの選択促進
    要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選べるよう、事業主に努力義務を課します。

  • 介護休暇の適用範囲拡大
    雇用期間が6か月未満の労働者を介護休暇の対象外とする制度が廃止されます。これにより入社間もない従業員でまだ年次有給休暇が付与されえていなくても休暇が使えます(有給・無給は会社の定めによります)。

4. 介護両立支援制度の申出を円滑に行うための事業主の措置

事業主は以下の①~④のいずれか、または複数の措置を講じることが求められています。この措置は2022年開始された育児の場合と同様です。

  • ① 研修の実施
    介護休業や介護両立支援制度に関する研修を行う。

  • ② 相談体制の整備
    相談窓口を設置し、労働者が相談しやすい環境を整備する。

  • ③ 利用事例の提供
    自社の労働者による介護休業・介護両立支援制度の利用事例を収集・共有する。

  • ④ 方針の周知
    介護休業や支援制度の利用促進に関する方針を労働者へ周知する。

これらの取り組みにより、介護と仕事の両立を支援する環境の整備が進められます。2022年に育児休業に関する個別周知・意向確認、雇用環境整備が始まってから、男性の育児休業取得率が非常に上昇したと言われています。介護についても制度周知がすすみ利用者が増えるかもしれませんね。

介護に関する制度の説明、手続きのご相談もどうぞ




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