そこにいて笑うだけで。【ひねくれ育児日記】
エレベーターで、一緒に乗っている人をじっと見る。大人も、自分と同じくベビーカーに乗っている子のことも。
スーパーで立ち止まって選んでいるときにも、近くにいる人をじっと見る。レジ待ちの時にも、近くの人をじっと見る。
そうすると相手が笑いかけてくれることも多い。手を振ってくれたり、「こんにちは」と言ってくれたり、「○○なの」と話しかけてくれたり。多いのは、子育て中の方や、子どもを育て上げたシニア世代の方だ。
そんな時、傍にいる私はどう対応したらいいのかと思う。彼に替わって「こんにちは」と言ったり、「ありがとうございます」と言ったりするが、そもそもコミュ障だし、うまい返しが思い付かず微妙な空気をつくっていることも多い気がする。
しかし息子はそんなことには構わず、たまににこっと笑ったりする。相手は喜んでくれる。
スーパーにいたら年配の女性が「こんにちは」と息子に話しかけてくれた。見ると息子はじっとその女性を見ている。慌てて私が「こんにちは」と返す。息子はにこっとして、興奮したかのようにどんどんとベビーカーに座ってジャンプする。女性は嬉しそうだ。ただ狭い通路だったので「ここは人が通るから、じゃあね」と言って、私と息子を先に通してくれた。
その後スーパーの2階に上がったら、再びその女性とすれ違った。「まあ~」と言ってくださる。息子も再びどんどんやり始めた。しばらく息子に話しかけてくださってから「じゃあね」と言ってくださり、私も「ありがとうございました」と言って前に進み始めた。
すると息子はベビーカーから身を乗り出して振り返り、にこっと笑った。私も振り返ると、さっきの女性がまだそこにいて息子の方を見て、手を振ってくださっていた。私は再びお礼の会釈をして、また進み始めた。しかし息子は後ろを向いたままで、とうとう自分も手を振り出した。
ああ、そんなことをされたら、きっとあの方は嬉しいだろうな、と思った。
子どもにはそんな風に、人を嬉しくさせることができる力があるのだ、と目の前で知らされる。
そんな力は、君の親にはない。
いないいないばあ(ないなーい、なあ!)を言うようになった。
坂道も少し歩けるようになってきた。