保守的ないきあたりばったり。【ひねくれ育児日記】
息子はもう3週間も風邪が治らない。小児科の先生によれば、治り切る前に次の風邪をもらってきているらしい。
熱はなく、平日は保育園へ行く。土曜の午前中に小児科。風邪なのだから、薬局に寄って早く家に帰りたい。しかし家を出る前にぐずった息子に「じゃあ病院に行った後にシールを買いに行こう」と言ってしまった。小児科を出て本屋へ。トミカのシールがついたワークブックを買う。
店を出ると「踏切が見たい」と言う。駅前の踏切は、本屋からはすぐ近くなので寄ってみる。回送電車しか通らないこの踏切、しばらく待ってみたが電車は来ない。すると息子は「エスカレーター乗りたい」と言う。駅の改札階に、通過する電車の見えるポイントがあるのだ。乗って、「お茶飲みたい」と私が主張して、駅のコンビニでペットボトルを買う。私に500ml、息子に300ml。電車の見えるベンチで一緒に飲む。数本通過電車を見ると、息子は改札前へ移動して「乗りたい」と言う。私は困って、夫に電話をかける。さっき家を出る前に夫が昼食をつくっておくと言っていたのだ。しかし電話に出た夫は、まだつくっていないと言う。電話を切る。息子はまだ風邪が残っているから、本当は早く家に帰りたいのだけれど。もういいや、と改札を通る。
駅の近くに公園のある駅で降りてコンビニで何か買って食べよう、と思い、息子にもそう言ってきかせる。その駅で降りると、息子は別のホームへと向かっていった。そのホームから出ているのは、昨日YouTubeで見た路線だ。何でそんなに勘が働くのだろう。電車を見つめて息子は「乗る」と告げる。
その路線の駅をGoogleマップで調べてみるが、駅の近くに公園のあるところが見当たらない。駅から徒歩5分のところに大きい公園のある駅で降りてみることにした。改札を出ると、息子は踏切の前から動かない。徒歩5分は子どもといるとその3倍以上を意味する。諦めて、コンビニでご飯を買って、徒歩2分(の3倍)の小さな児童公園へ向かう。
やっと公園の入り口を視界にとらえたところで、その向かい側に美味しそうな魚の定食屋さんを見つける。空いていそうだし、子ども連れでも入れるだろうか。それならコンビニなんかじゃなくて、ここでもっと美味しいものを食べさせてやればよかったかもしれない。そう思いつつ、公園でおにぎりやサンドイッチを食べる。息子はとり五目が気に入ったようでよく食べる。
食べ終わって、公園から出る息子について散歩に。商店街に出た。ここにもいくつか飲食店がある。もっと美味しいものを食べさせてあげられたのかも。調べる時間があったら、子ども連れでも入れそうな店をスマホで探して入れたかもしれない。その時間がなかった今日、知らない町に、未知の出会いがあると信じて入っていくことができなかった。勇気のなさが、息子の経験に影響を与えてしまっている。情けなさが押し寄せるのを感じながら歩いていると、息子はさっきと別の踏切を見つけてそちらへ歩いていく。
電車3本分くらい踏切を見た後、救急車が通り、息子は後をついて広い道路へ出る。そしてまた踏切が鳴っているのを見つけて戻ろうとする。あっちへこっちへ。エンドレス。
しかしその途中で息子が道沿いのデニーズの入り口の階段を登っていく。「ここはご飯を食べるところだよ」と言っても、また登っていく。私も疲れていたので、デニーズでお茶することに。キッズメニューを見ていた息子が「ポテト食べたい」と言う。確かにケーキを食べさせるよりは2歳児の健康にいいかもしれない。フライドポテトとドリンクバーを一つ頼む。3歳以下はドリンクバー無料だ。手を洗わせてから、息子にオレンジジュース、自分にオレンジソーダ。ポテトは油と塩分を紙ナプキンで軽く拭きながら。息子はご機嫌で、そんなにうるさくすることもなく食べ終わる。お店のお姉さんが息子に手を振ってくれる。
店を出てまたエンドレスループに入ろうとしていたので、流石にしんどくなって、抱っこで歩き出す。こういうシチュエーションが多いので、とうとう新しい抱っこ紐「ダッコルト」を買った。初めて使ったが、息子は一瞬嫌がったものの、抱っこされるとわかったらすんなり抱っこされてくれた。
本当は早く家に帰りたかったから、何の計画もなかった。もっと計画を立てておけば、息子がもっと喜んでくれるようなことができるのだろうか。もっと自然に触れさせたいという私の思いは、風邪ひきという現実を前にしてなかなか実現しない。
それとも、こんな行き当たりばったりの外出が、いつか思い出になったりするのだろうか。
可愛い言い間違いをあまりしない息子だが、家の前に猫2匹がいるときは「にきひ」。