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一歳児の日々に、テレビはすぐに侵食する。【ひねくれ育児日記】

息子がテレビや動画に興味を示すようになった。

最初はなんとなくYouTubeで「しまじろう」の無料動画を見せ始めた。しかし、はまるとずっと見ていて、取り上げると泣く。朝、起き抜けにiPadを見つけて、見せろと泣く。
少し方向性を変えてみようと、テレビ番組を録画して見せてみることにした。友人から聞いたことのあった、NHKEテレの「いないいないばぁっ!」、テレビ東京系の「シナぷしゅ」、あとは「それいけ!アンパンマン」。
息子がはまったのは「いないいないばぁっ!」だった。最近「いないいないばあ」が言えるようになった息子は、「いないいない・・・」と言いながらテレビのリモコンをいじる。当てずっぽうに押しているのだろうが大体電源はつく。流石に録画の再生は自分ではできずにリモコンを持ってくる。
これも止まらなくなる時があるのだが、YouTubeより少しは状況がましだ。1本終わると、その最後の場面がついたまま停止する。画面に一応、キャラクターたちが出たままなので、すぐに次の番組を再生しろとは言ってこないことが多い。1本15分という時間も、少し見応えがあっていいようだ。ただ、それでも繰り返しの要求が激しい時はしばしばある。

放っておくとテレビの目の前に立って見ているので、どうにかこうにか後退させてソファに座らせる。正直、きちんとルールを決めて、という感じではない。なし崩しで、探り探りだ。

そのうち、無料動画と違うEテレのレベルの高さに気付き始めた。テレビマンの矜持のようなものを感じる。無料動画の歌は童謡や替え歌が多いが、「いないいないばぁっ!」やその前後に放送されている「おかあさんといっしょ」の歌は、古い童謡の他はほとんどがオリジナル。例えば先日聞いた「ブーブー家族」という曲は、間奏にかっこいいサックスソロが小さめの音で入っていた。もちろん打ち込みではない。このご時世にちゃんとレコーディングしたのかな、と感動を覚える。
毎日放送されている体操の曲は、「いないいないばぁっ!」はヒャダインさんの作曲、ラッキィ池田さんの振り付けだ。「おかあさんといっしょ」は吉田戦車さんが作詞している。子ども向けといっても、私でもわかるくらいの一流の人を起用しているのだ。だからちゃんと子どもに伝わるのだろうと思う。
吉田戦車さん作詞の「からだ☆ダンダン」はナンセンスっぷり、世界観の飛び方に衝撃を受けた。「クリオネクリオネクリックリ、クリ(栗のポーズ)!」…だじゃれなんだけど、何で栗なのかと考え始めるととてつもない世界が広がり始める。「かいそうたいそうでんでんだいこ」…その時の体操がでんでん太鼓風だからこの歌詞なのだろうが、何で海藻とでんでん太鼓がつながるのかと考え始めるととてつもない(以下略)。

先日は「いないいないばあっ!」で初めて「いっこにこだっこ」という曲を聞いて、息子に「いい曲だね」と言いながら泣いてしまった。数回目でやっとクレジットを確認すると、作曲者に「松永貴志」とある。え?あのジャズピアニストの? 調べてみると確かにそうだった。流れ始めたばかりの新曲らしい。ご本人のものらしいピアノの音は優しくて、豊かな土壌に支えられていて、心を揺さぶってくる。

すでに私の頭の中は、ほとんどずっと、Eテレの曲が勝手にリピート再生されている。

息子にはまだ「おかあさんといっしょ」は難しいようだが、「いないいないばぁっ!」には喜ぶようになった。体操の曲「ピカピカブー!」や「いないいない、ばいばーい!」の挨拶に、にんまりと笑う。
録画をスタートさせてソファに座らせることで、私は15分間、夕食の準備をする猶予の時間を与えられた。もしかしたらこれからは、息子に作り立てのものを食べさせられる機会が増えるかもしれない。とりあえずそう都合よく解釈し、この先も、探り探り。

「あか」「っち(こっち)」「よーちょ(よいしょ)」「アンパン(アンパンマン)」など、聞き取れる言葉が少しずつ増えてきた。
バナナを割って、1本の4割くらい差し出してくれる。

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