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おこがましさの受け入れ方。【ひねくれ育児日記】

人に暴力を振るっていたら、止める。
でも私に暴力を振るってきたら、止まってしまう。

風呂から上がるとき、「ぱぱおむかえ」と言っていた。普段、夫の手が空いていれば、風呂から上げてくれる。でもこの日は在宅勤務の仕事中だった。「パパはお仕事だよ」と説明したら、「ぱぱおしごと」とつぶやく。
風呂を出て、息子の体をタオルで拭く。その時、息子が振り返って、片手で私を押してきた。
やっぱり、パパに拭いてほしかったのだろう。はっきり拒否されて、悲しくなった。
それでも、放置しておいたら風邪を引いてしまう。保湿剤を塗って、おむつを履かせて、服を着せなければならない。私は息子に後ろから近づき、わさわさと頭を拭いた。そして保湿剤を塗りながら言った。「ごめんね、パパじゃなくて。パパがいいよね。ママでごめんね。○○くんはこんなに素敵な子なのに、こんなママに育てられて、ごめんね」
すると息子が急に泣き出した。そして、風呂に入る前に並べたトミカをひっくり返した。なんだかいつもと泣き方が違う。激しい。
私の言葉をちゃんと聞いていたんだ、と不意に覚った。

「ごめんね」と言う。でも泣き止む気配はない。しばらくすると振り返って、私をまた手で押した。そして、私をじっと見ながら泣いた。怒りながら泣いているように見えた。そのうち、私も泣けてきてしまった。さっきの言葉をフォローしたいけれど、息子の泣き声におされて話せない。
息子はしばらく泣き続けた。放置していたら風邪を引く、そう自分に言い聞かせ、どうにか保湿剤を塗るのを再開する。
息子はまだ泣いている。そのうち泣き声に「おっぱい」という声が混じる。「ちょっと待ってね」と言いながら、服を着せ、自分も服を着る。
母乳を飲み始めると、やっと泣き声が止んだ。「こんなままだけど、ずっと一緒にいられるように頑張るからね。」「頑張る」という言葉は自分にプレッシャーをかけるようであまり好きじゃないけれど、他に言葉が思いつかなかった。
息子はいつものように、そのまま眠りに落ちた。

だめな母親、とよく思うし、強く思う。こんな風に、悲しみとやりきれなさをぶつけて、傷つけてしまう自分に、その思いは増す。
でも、息子は私のことを大切に思ってくれているのかもしれない。私が私を攻撃することは、息子の大切なものを否定することなのかもしれない。
おこがましいけれど、そう思ってしまった。

だからといって、だめな母親だという気持ちは1ミリも減らない。
だめな母親であることは隠しようがないけれど、きみの母親にふさわしくない、消えた方がいい、という思いは、隠さないと。

いやいや期って、「いや」しか言わないわけじゃない。
こんな葛藤があるなんて、知らなかった。

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