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ROCK IN JAPAN 2024 面構えが違う エレカシ 宮本 浩次 

  登場時の「楽しみにしてきました。」と挨拶の時、言葉とは裏腹に笑顔ひとつ見せず緊張感ある顔つきの宮本浩次を見て「オッ!」と思った。ソロの宮本浩次に慣れてしまったけれど、今日は登場から間違いなくエレカシ宮本浩次だった。このピリッとした空気感にこちらも自然と緊張感を持ってしまう。

 1曲目『今宵の月のように』、2曲目『悲しみの果て』エレカシの一般的な代表曲を経て3曲目『デーデ』、4曲目『星の砂』、5曲目『珍奇男』の流れは圧巻だった。あのエレカシ宮本浩次が目を剥いてバチッと完全にキマっている時は何が起こるか分からない怖さと期待感があって、それに全力で応えてくれた3曲だった。しかも、このトップギアのまま、6曲目『RAINBOW』、7曲目『ガストロンジャー』と畳み掛ける。そして8曲目の昨年末のNHK紅白でも披露された『俺たちの明日』で誰もが納得のラストと思っていたところ、あと1曲イケると見込んで、まさかの9曲目『ファイティングマン』を押し込んできた。

 緩急も無く、張りつめたままの尋常じゃないセットリストと無理矢理押し込んだラスト曲、高速の『ファイティングマン』

 これでもかっ、と圧をかけまくった最高にロックなステージで、あの『エレカシは日本のロックバンドではなく、日本のロックバンドはエレカシです。』の言葉が頭に浮かんだ。

 年齢のことは言いたくないけれど、58歳の大御所がココまでやるか…と頭の下がる思い。エレカシのステージを観ると、禊のように自分に纏わりつく何かを祓われた気持ちになる時がある。今日のステージを観終えた後も何かが祓われた気分になった。全身全霊で真っ直ぐに曲を届けるだけのバンドの姿に、余計なものを背負い込み形ばかりの自分が馬鹿らしく、心洗われる思いになるのかもしれない。

  今回のセットリストを見ると選曲の意図を勘繰ってしまう。それに、私の今年の抱負となる『狂気の世の中を正気で暮らす』から見ると、どの曲もメッセージとしてシッカリ受けとれてしまう。大体、あのバブル期の浮かれた風潮のなかでデーデや星の砂のような曲を作れる人が今の世の中をどう見ているかなんて言葉にしなくても分かる気がする。その上で余計なことは口にせず、全ては曲に込めて発露する。そんなところもエレカシ宮本浩次らしい。

 歌詞の『金』の連呼と『民衆は耐えよう』の連呼から今の社会が見えてくる。政治家も企業も金に溺れて、おかしな社会が出来上がりつつある。そんな社会に民衆は抑圧され、強制されても声ひとつ上げない。だから『民衆は耐えよう』の後に「得意だろう」と煽られてドキッとした。

 これらの言葉に、有無を言わせないほど説得力を持たせることが出来るのがエレカシ宮本浩次。『革命前夜か!?』と思うくらいに最高にロック!そして、私の心の奥にいるゴリゴリの中年男が『宮本ーっ!!最高だよーっ!』と叫ばずにはいられなかった。

 


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