「エレファントカシマシ 35th ANNIVERSARY TOUR 」 圧巻の『RAINBOW』『待つ男』
有明アリーナでのコンサート翌朝、気付くと右足の踵内側の側面に立派な水膨れが出来ていた。履き慣れないスニーカーでの縦ノリが原因なのかな?コレも記念だと思ってそのままにしておいた。暫くすると、瑞々しい水膨れは潰れることも無く茶褐色のかさぶたとなり、入浴中にブラシで足先を洗っているとポロリと取れた。ツアー最終日だった。絶妙なタイミングに、出来過ぎでしょう(笑)と思う。
コンサートを振り返ると、今回はエレカシ宮本浩次の板についてる感が凄かった。舞台役者さながらの安定感と存在感でビターッと舞台の板についている感じがして、バンド全体に貫録を感じさせた。そして、声は驚く程に出ているし、ソロ活動が持ち場強化となったのかな?と思った。声でいえば、あの『RAINBOW』の突き抜けたイントロもゾクッとするほどにキマッていた。コンサートの中盤にこの曲を入れてくるのは、フルマラソン中に100メートル走を入れてくる位ハードだと思うのに、高音も疾走感も完璧で驚愕した。そして、RAINBOWは内圧の高さを感じさせる爆発力がたまらない。会場内では、それを迎え撃つように観客も一層盛り上がりを見せる。エレカシの曲は一本釣りのような華やかさというより、地引網のような根こそぎ感が強く、それがより実体を持つ曲になっている気がする。この曲も同じく、内包した思いの全てを瞬間的に解き放った時の衝撃波を受けるような曲だ。しかも、今まで生で聴いたRAINBOWのなかで一番の体感だった。その時の興奮といったら「最高ーですっ!!」と逆に陳腐な言葉しか出てこない。
そして、アンコールでの『待つ男』でも3時間近く歌っていたのが嘘のような声と熱量を放っていた。しかも、この曲は私にとっての応援歌で普段から聴いているので最後の最後に爆上がりした。
この一節にどれだけ勇気づけられていることか。何かある度に小心者の私は慌てふためく。その時は、この曲をジッと聞いて平常心を取り戻す。何度となく、我が身可愛さのあまり不本意な状況にパニックに落ちそうになった時、そこから救い出して貰った。『富士に太陽ちゃんとある』の揺るぎない現実の心強さを頼りに、保身ばかりの自分に喝を入れる。しかも、この曲の粘りとうねりのグルーヴ感はエレカシ独特で他には真似できないと思う。曲が圧倒的なしぶとさを持っている。コンサートでは涙も出ない程に呆然と聴き入った。そして、曲を終えると素っ気ない程にキッパリとハケていくメンバーに「これが、エレカシだよ~!」と内心、拳を上げた。持久力と、瞬発力を兼ね備えた強さと、エレカシならではの鋭さと包容力を改めて肌で感じた記念すべき35thコンサートだった。
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