つるんとしたもの
久々に心をえぐられた。
自分の未熟さ、幼稚さで、失敗した。
えぐられたという言葉がぴったりな感情の動き。
心臓を鷲掴みにされて、身体ごとブンブン振り回されているような感じ。
恥ずかしさと悔しさと悲しさと、全部が一緒になって襲ってくる。
一頻り振り回されて、ふと気づく。
「あぁ、久しぶりに振り回されているな」と。
その後、いつも行っている森のリトリートの主催者が開催している五感のオンラインワークに参加した。
ひぐらしの声を聞いても、沢のせせらぎの音を聞いても、音として耳には入ってくるけれど、全然身体に入ってこない。
「そりゃそうだよな、あんだけ振り回されればね、今日は入ってこないよな」
そんなことを思いながら、触覚のワークに移った。
手を合わせて、掌を擦ったり、ちょっと離して、お互いの掌の感覚を感じたり。
そしたら、不思議なことが起きた。
それまでその直前に起こった心臓をえぐられた出来事の形が変わっていった。
手を合わせるまでは、触りたくもない気持ちの悪い汚い、できれば目を背けたい感覚を与えていたその出来事は、形を変え、きれいなつるんとした砂糖菓子のような感覚に変わっていった。
しばらくその感じを味わっていたら、今度はそれが温かみを帯びてきて、なんとなく触りたくなるような、抱きしめたくなるようなものに変わっていった。
温かい、つるんとした、大事なもの。大事にしていきたいものに変わっていった。
ワークが終わり、パソコンを閉じ、寝る準備をしている間、それはまた元の形に戻っていく。ちょっと触りたくない嫌な感じのものに。
だけど、それは手を合わせる前の形には完全には戻らなかった。
温かさは残っていて、つるんとした場所も残っていて。
夜寝る瞬間、また起こった出来事を思い出し、形を観察してみる。
やっぱり、まだ温かみを帯びていて、つるんとしているところもある。
この文章を書いている間もその感覚はあって、なんかちょっとだけ、ほんのちょっとだけその出来事が愛しくなる。
もしかしたら、またそれは嫌なものに戻るのかもしれない。
もしかしたら、温かいつるんとしたものに完全に変わるのかもしれない。
それはわからないけれど、その過程を丁寧に眺めていきたいと思う。