「問い」を共有する事業をつくる
先日、「しなやかな社会をつくる」をコンセプトにしたWEBメディア『UNLEASH』を運営しているモリジュンヤさんがnoteで、私の記事を紹介していただきました。
先日私が書いた『どこでも暮らせる時代に、アイデンティティはどこに帰属するのか』と言う記事は、まさにUNLEASHの「問い」から生まれた記事であり、面白い仕掛けだなと感心しました。
そして、ふと思いました。
これって、国際協力やNPOでも、同じことが言えるのではないでしょうか?
意外と忘れがちな「問い」の質
多くの人は「解の質」が仕事のバリューを決める、と考えている。そして「イシュー度」つまり「課題の質」にはあまり感心を持たない傾向がある。だが、本当にバリューのある仕事をしようとするなら「イシュー度」こそが大切だ。なぜなら「イシュー度」の低い仕事は、それに対する「解の質」が高かろうと、価値はゼロに等しいからだ。
これは大好きな本『イシューからはじめよ』の冒頭部分の一説ですが、国際協力でも同じことが言えます。
例えば、「学校に通えない子どもたちがいる」という課題があったとして、すぐに「学校をつくる」「先生をトレーニングする」といった解決策の話に移りがちですが、そもそも学校に通えないことでどんな問題があるのか、見極める必要があります。
私たちe-Educationもバングラデシュの農村部の高校生の大学受験を応援する活動をしていますが、「学校を作った方が良い」というアドバイスを何回ももらいました。
ただ、実際に生徒たちにヒアリングしてみると、彼らは普通に学校に通えているものの、それだけでは大学受験には合格できないと言う厳しい現実が見えてきました。
バングラデシュの大学受験は高校を卒業した約半年後に実施されます。つまり、生徒たちは既に高校を卒業しており、彼らが必要としているのは自分の志望校に合格できるための教材や補講といった学習環境でした。
結果、私たちは遠くの予備校に毎日通わなくても住むように、映像教育という手法を活用しました。都心部の有名な先生の授業を収録して、DVDにして農村部の学生たちがどこでもアクセスできるようサポートしました。
今では村の貧しい高校生たち250人以上のが難関国立大学に進学しましたが、私たちの解決策がユニークだったからではなく、課題の質にこだわった、つまり「なぜ彼らは大学受験に合格できないのか?」という問いの質にこだわった結果だと思います。
「問い」を共有するミッション
こうやって考えてみると、e-Educationのミッション「最高の授業を世界の果てまで届ける」には問いが詰まっています。
・最高の授業とは?
・世界の果てとは?
・どうやって届けるのか?
どれも万人共通の答えはありません。だからこそ、私たちは常に組織のあるべき姿、解決するべき課題、解決の方法について日々考え続けています。
組織内で意見が食い違うこともあります。でも、それで良いのです。意見の違いは新しい可能性を模索する場であり、時代や環境の変化に合わせて、私たちも進化し続けることができます。
この3つの問いは私たちの根幹であり、事業を加速する大きな力になりました。
最後に
国際協力の世界に、これだという答えはありません。
かといって「世界平和」という壮大なビジョンだけでは、今何をすれば良いのか分からなくなってしまいます。
だからこそ、良い「問い」が必要になります。
課題の本質を見極める問いが、組織の方向性を整えるための問いが、社会を変えていく大きな推進力になるのです。
《良い「問い」を共有する事業をつくる》
これから国際協力やNPOに関わる人たちにはぜひ意識していただきたいテーマです。
もちろん、私も意識し続けていきます。
よかったら、ぜひご一緒に。