時代の自画像~わたしたちの絵~平塚市美術館
”今”を描く画家さん達に驚かされた話
湘南エリアにある平塚市美術館
いつ訪れても落ち着いた雰囲気でお気に入りの美術館のひとつです。
1991年3月開館
設計の総括責任者は岐阜県立美術館や京都迎賓館の佐藤義信
上皇后美智子様がお忍びで訪れたこともある、
建物も素敵な美術館です。
今は平塚市制90周年記念展として
~わたしたちの絵 時代の自画像~を開催中
企画展名のとおり"今・現在・現代”を描ている
13名の作家さん達の作品が展示されています。
全体の印象としては
『予定外だったけど、、、観れて良かった!』です。
(その日は時間があまり無くて同美術館の市民展だけ見る予定でした)
現代を表現する芸術作品は暗いものが多い印象だけど
(近年の国内のトリエンナーレの印象かも知れない?)
この企画展ではコミカルな作品や鮮やかな色彩の作品も多くて、
観て行くと色んな感情が呼び起こされました。
3作品だけ語らせてください。
【松本亮平 鶴の行列】サイズ33.3×53.0
鶴たちがマスクを求めて薬局に並んでいます。
首を伸ばして”待っている感”と
目元の赤い毛の”血走っている感”
が絶妙で思わずクスッとしてしまいました。
他の作品でも色々な生き物が登場していて、
扱われてるテーマに唸りつつも
『可愛い!』という気持ちが止まりませんでした。
次は、、、
【谷原奈摘子 穢土(えど)】
穢土(えど):この世。現世。煩悩で汚れた世界の意から。
対義語は極楽 ※国語辞典ONLINEから
作品サイズが245×340と大きな作品です。
作中の女性の装いには穢土(えど)と江戸の言葉遊びもあって、
強烈な色彩、髪の毛や汚泥の質感から強い香水の匂いを感じる気がしました。
またこの作者さんはどの作品にもご自身を登場させているそうなので、
作者さん探しをしながら観てみるのも面白いです。
そして、、、
【中田武 斉唱(せいしょう)~神7の唄~】サイズ280×390
唄う女性達の足元に黒い土嚢(どのう)袋…
ぱっと見た瞬間には女性と土嚢袋に組み合わせにビクッとしますが、
じっくり見ていると足元の草木の日本画らしい繊細さにもグッとなります。
そして神7はAKB48からの発想では無く(私は反射的にそう思ってしまった)
七福神のイメージからだそうです。
7人の表情は唄うことに意識を預けることで
限定的な喜怒哀楽からは遠ざかっているようにも見えます。
でも、ひとりひとりの表情を見ていくと
目隠しの女性は、そうでなくては唄えない状況であったり、
一番右隅の女性は、あえて楽観的な表情をしているようにも見えたり、
コーラ瓶を持つ女性は唯一こちら側に視線を送っているでしょうか?
ほぼ同じ衣装の同一性とは逆になにか個別の事情も感じるようでした。
うん、それでも、こうして、同じ唄を歌っている、、、。
、、と、3作品語らせて頂きました。
他の作家さんの作品も興味深いものが多数ありました。
角度によって絵面が変化して見える、意外な素材で出来ている、などなど
この美術館は併設のレストラン ラ・パレットもお勧めです。
中庭を見ながらおいしいイタリアンが食べられます。
カフェ利用もOKで、夏はかき氷もありますよ~♪
では、また~
みわ@湘南のすみっこ
<平塚市美術館のざっくり情報>
※時代の自画像は11/27(日)まで
※9:30~17:00(最終入場16:30) 月曜休館
※最寄りの平塚駅から歩くと15分程、タクシー5分、バスもあり
※駐車場あり、満車の場合は斜め前に博物館の駐車場あり
※正確な情報は必ず公式HPを確認してください。