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大逆転 徳川家定の逆襲

「大逆転徳川幕府 家定の逆襲」は1980年代末か1990年代初頭に入手した同人誌小説です。内容は当時はやってた仮想戦記もので幕末のペリー来航時の家定の中に昭和産まれの歴史ヲタク(学者ではなくヲタクなのがミソ)が時代を遡ったのか平行世界なのか不明ですが転生して、その幕末知識を利用して幕府を立て直していくというものです。当時そういった話がはやっていました。太平洋戦線ものや欧州戦線もの。照和の世界に転生した紺碧の艦隊とか戦国ものも関ヶ原や大坂の陣の逆転ものも多数出版されてブームになっていました(佐藤大輔とか他にも触れるべき作家が多数いることはわかりますが取り上げるの幕末なのでここは省略)。
この小説同人誌の作者はそれにプラスして当時発売されていた光栄の「維新の嵐」のファンで佐幕な人だったらしく、幕府を勝利させるには家定になるしかないと結論付けたようです。
彼の改革は暴力装置としての新選組を清川の建白書ではなく自分の発案としてその幕末知識をもとに近藤勇以下、脳筋な凄腕郷士や浪人たちを採用して新撰組を作り、同時に幕臣の次男三男よりなる見廻組も作って、佐佐々木只三郎をトップに据えて「徳田新之介」と名乗るように命じます。これら暴力装置を京に派遣して武力を持って京の都を制圧し朝廷を完全に掌握すると同時に島津斉彬や山内容堂ら有力諸侯を抱き込み、さらに幕末の有能な人士を次々と幕臣に取り立て真田家と話を直接付けて佐久間象山を顧問にしてその下にブレーンを形成して幕末の主な人士を勝海舟も橋本左内、大久保利通、大村益次郎までもみなそこに抱え込んだり、吉田松陰を自分の師と持ち上げた挙げ句海外留学と称して欧州に島流しにしたりとメチャクチャやります。
幕閣人事は阿部正弘以下家定はああいうおかしな人だと決めつけからそのまま受け入れてしまったり、篤姫との間に子供を作って薩摩を完全に取り込もうとしたりと後出しジャンケン全開なストーリーです。
さらにはスネル兄弟を通して「クルップ砲」を調達し、幕府ブレーンたちによって国産化に成功し、在留英国人殺人事件に端を発した徳英戦争でイギリス海軍の「アームストロング砲」とのお台場砲撃戦に圧勝します。
ラストは「謎の円盤UFO」のオープニングみたいに次々と鎖国用の設備が整ったことを説明して「夷狄迎撃の準備は整った」で物語は終わります。
続きがあったのかどうか不明な小説同人誌です。

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