Netflix『極悪女王』はプロレスに本気で取り組んだ俳優たちのドキュメンタリーだった
1980年代の全日本プロレス、ダンプ松本の誕生から引退までを描いたNetflixドラマ『極悪女王』
僕が生まれたのは、本作品のモデルになったダンプ松本さんが引退した頃なので、こんな時代があったことを梅雨知らず、ドラマを見て衝撃を受けました。
そんな『極悪女王』を観た感想をまとめていきたいと思います。
作品情報
キャスト
あらすじ
観た感想
当時、リング上で暴れる本物のプロレスラーを見ていたら、僕も当時のプロレスブームに乗っかって間違いなく熱狂したでしょう。
ドラマを見ても何度も声をあげてしまうほど、熱狂しました。
まず、出演されている俳優陣の肉体改造が凄い。
クラッシュギャルズを演じるのが剛力彩芽さんと唐田えりかさんだと知った時は、正直「こんな華奢な2人にプロレスラー役ができるのか」と思いました。
鑑賞し終えた今になってみると、本当に失礼だったと思います。
本作品は、ほぼ準撮りで撮影が行われたようで、最初のシーンと比べても体の大きさが全然違うことがよく分かります。
最終話で画面に映った剛力さんの太ももはプロレスラー並みで「CG!?」と疑ってしまうくらいの太さに仕上がっていました。
さらに主演のゆりやんレトリィバァさんは、ダンプ松本さんを演じるに当たり、40kgの増量に挑んだそうです。
もともと45kgのダイエットに成功し65kgになったばかりの頃に、本作品のオーディションに合格したゆりやんレトリィバァさん。
ここから40kgの増量に挑むことは、健康的に大丈夫かと心配されながらも、Netflix監修の元増量とトレーニングに挑みました。
プラス40kgの増量と筋肉を付けたゆりやんレトリィバァさんのプロレス姿は「あいつ、ダンプカーみたいだ」という台詞に相応しい迫力がありました。
撮影後に再度ダイエットされたゆりやんレトリィバァさんは、45kg減→40kg増→30kg減という、凄まじい肉体改造を成功されています。
お笑い芸人という枠を超えた、俳優としてのプロ意識に魅了されました。
肉体改造に成功された俳優陣が、スタントマン無しで挑むプロレスシーンも必見です。
本作品のプロレスシーンは、作品のモデルにもなったプロレスラーの長与千種さんが監修をされています。
一歩間違えれば大怪我に繋がるプロレス技の数々は、迫力がすごい。
他にも剛力彩芽さんの「ジャイアントスイング」や「ドロップキック」もプロ並みの迫力。
長与千種役を演じる唐田えりかさんの「フライングニールキック」は、長与さんから「難しいから代役で行こうか」と打診されながらも、唐田さんは「やります」と言い、本番で見事にやり遂げています。
並大抵の努力では再現できない、プロレスの大技の数々に感動しました。
本作品の魅力は、これだけではありません。
プロレスについて無知だった僕にとって、ダンプ松本さんがヒール役になるまでのストーリーも、かなり衝撃的でした。
元々は女子プロレスラーに憧れた少女だった、松本香さん。
貧乏ながら家庭を切り盛りする母親、酒浸りの父親。
そんな家庭環境や「強くなりたい」「お母さんに家を買ってあげたい」という気持ちから、ヒール役になる道を選んだ背景や葛藤に、ものすごく心打たれました。
ヒール役に徹すると決意する前までは、ファンに笑顔を振りまいていたのも辞めた。
プロとして笑顔を見せないことを決めたと、極悪同盟のブル中野さんのYouTubeでダンプ松本さんが語られていました。
最後に、ダンプ松本さんの引退試合の完全再現シーンが素晴らしかったです。
試合を盛り上げるために、空手あり、凶器あり。さらには勝敗が約束された台本ありの試合。本来のプロレスとは違う要素が加わっていた全日本女子プロレス。
ダンプ松本さんの最後の試合では、ライオネス飛鳥さんの「これが本当にやりたかったプロレスか!?」という問いをきっかけに、ダンプ松本さんやクラッシュギャルズを含む同期の4人は、台本無視で自分たちがやりたかったプロレスを始めました。
この女たちの友情が描かれた熱い展開に「本当にこうだったのか」と疑問に思い、実際のダンプ松本さんの引退試合の動画を見てみると、台詞ひとつ変えることなく完全に再現されていました。
まとめ
全日本女子プロレスを盛り上げるために、命がけで戦っていたダンプ松本さん、クラッシュギャルズをはじめとするプロレスラーの方々の伝説。
そして、2年間に及ぶ壮絶な肉体改造とトレーニングを乗り越えて、スタント無しでプロレスを再現した俳優たちのドキュメンタリーのような映像。
全5話に凝縮されたエピソードを、ぜひ観てみてください。