いつも怒っていたアルバイト先のおばちゃんから言われた一言に、思わず感動し涙した話。
僕は20代前半の頃、舞台俳優として活動をしていました。
舞台出演はあくまで経験を積むためであり、仕事ではありません。
なぜなら舞台に出演し、報酬を得たこと無いからです。
生活をしていくために、居酒屋でアルバイトをしていました。
そのアルバイト先で、ランチタイムに一緒に働いているパートのおばちゃんがいました。
今日はそのアルバイト先のおばちゃんとのエピソードを話したいと思います。
1.アルバイト先のおばちゃん
僕のアルバイト先は、京風居酒屋。
ランチタイムは、京都料理メインのお膳が良く注文されます。
お膳はA3用紙くらいの大きめのお盆の上に、色々載っていました。
そのお膳に小鉢やらご飯やらを並べるパントリー担当が、おばちゃんの仕事。
僕はそのお膳を運ぶ、ホール担当でした。
ランチタイムはいつも大忙し。
おばちゃんはいつもイライラしていました。
最初のうちはお膳を一個運ぶだけで許されていましたが、そのうちお膳を両手で一個ずつ。
最終的には左手の腕で一個抱え、左手で一個持ち、右手でもう一個の計三個、おばちゃんに運ばされていました。
そんな感じのおばちゃんだったので、アルバイト仲間からは賛否両論。
でも僕はおばちゃんが好きでした。
こっそり、余ったプリンを食べさせてくれるからです。
運びをやりながら、毎日のようにプリンを一気食いしていました。
2.1ヶ月のお休み
アルバイト期間中に舞台の出演が決まりました。
舞台出演のために、1ヶ月ほどアルバイトを休ませてもらうことに。
おばちゃんに1ヶ月休む旨を話すと、おばちゃんはこう言いました。
おばちゃんが舞台を見に来てくれることになりました。
集客が必要だった僕にとっては、まさかおばちゃんが見に来てくれるとは思っていなかったので、すごく嬉しかったです。
3.舞台当日
おばちゃんにメールで詳細を送りました。
年齢は60歳くらいだったと思うので、会場まで来れるか心配。
公演前に、到着したと連絡がきたので一安心し、舞台で演じきりました。
公演後、客席へ見に来てくれた人たちに挨拶へ。
パイプ椅子で2時間ほど座っていたので、早く帰らせてあげたいと思い、真っ先におばちゃんのところへ行きました。
すると、おばちゃんは目を真っ赤にして大号泣していました。
いつもパントリーで怒ってばっかりだったおばちゃんが大号泣。
泣きながらも、顔は笑っていました。
僕も思わずもらい泣き。
まだまだ経験が浅く、2回目くらいの舞台出演だったので、自分の芝居がどう見られるのか、不安な気持ちもありました。
まさか人を感動させることができるとは思わなかったので。
とてもうれしく、舞台役者としての自信が付いた経験でした。
4.まとめ
舞台は過酷な経験もあれば、今回のような感動する経験もあります。
アルバイトは2年ほど働き辞めましたが、みんなからもらった寄せ書きにおばちゃんからの激励のメッセージもありました。
そう思うようになったきっかけの出来事でした。
またおばちゃんに会うことがあれば、誇れる生き方をしていこうと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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