三浦富美子

オランダ・ロッテルダム在住 2023年1月にアムステルダムの出版社Van Oorschotより『Polderjapanner』を出版 イベント@東京 eulitfest.jp/year2024/eve... polderjapannermiura2024.peatix.com

三浦富美子

オランダ・ロッテルダム在住 2023年1月にアムステルダムの出版社Van Oorschotより『Polderjapanner』を出版 イベント@東京 eulitfest.jp/year2024/eve... polderjapannermiura2024.peatix.com

最近の記事

ヨーロッパ文芸フェスティバルに登壇します

今週の土曜日10月12日の11時30分から、飯田橋の東京日仏学院メディアテークにて、ヨーロッパ文芸フェスティバル2024『非母国語で書く - 言語により再定義されるアイデンティティー』に登壇します。 司会は京都大学の吉田恭子教授、そしてあの『『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』の著者である済東鉄腸さんと対談をします。 皆様、ぜひお越しください!! 詳細とお申し込みは↓↓こちらのPeatix ページから宜

    • 日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その6)オランダ語というマイナー言語

      世界中に約2500万人の話者がいるといわれるオランダ語。それをマイナー言語と片付けてもいいのだろうか。確かにフランス語やドイツ語と比べれば話者は断然少ない。唯一の西洋言語としてオランダ語が輝いていた江戸時代、そんな過去もすっかり忘れ去られたかのように、今や日本での知名度は低い。「オランダでは何語が話されているんですか?」と無邪気に聞かれたことも一度や二度ではない。しかし、たとえマイナー言語だとしても、ここで暮らしていくからには、オランダ語は必要だ。そのゆるぎない現実は、言語が

      • 日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その5)マイノリティーになって初めて見えたこと

        オランダ語でオランダ人の読者に向けて、外国人の立場からオランダを批判する。しかも外国人同士の内輪トークやネットの落書きではなく、これからもずっと形として残る本の中で。これにはかなりの勇気と熟慮を要した。編集者Fさんからは「オランダ礼讃だけに終始せず、批判的なことを書いても構わない」と言われていたのだが、万が一炎上しても出版社が私を守ってくれるとは残念ながら思えなかった。いっそのこと当たり障りのない食べ物や自転車の話でやめておいてもよかったのかもしれないが、敢えて綱渡りをしてで

        • 日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その4)アジア系外国人としてオランダで生きること

          本を書くことになって初めて、オランダ語の読書量が圧倒的に足りなかったことを後悔した。が、後悔先に立たず。そう気付いた日から読んで読んで読みまくるしか道は無い。まずは自分と同じような境遇の作家、つまり外国人か外国のルーツを持つオランダ語で書いている作家の作品から当たってみることにした。 最初に読んだのは、Rodaan Al Galidiの『Hoe ik talent voor het leven kreeg(俺が生き延びる才能を身につけた方法)』。彼はイランからアジアの国々を

          日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その3)オランダを映す鏡

          発売日前後に新聞やラジオのインタビューを受けた。人前でオランダ語を話すのは相変わらず苦手なままだったので、人生最大級の緊張と背伸びの連続となった。「無名の著者でこれほどメディアで取り上げてもらえるのは珍しいですよ」と出版社の広報担当者から聞いて驚いた。無名の著者なら取材申し込みゼロ、ということも珍しくないらしい。とはいっても、実際の本の内容を評価してというよりも、単にオランダ語で書く日本人が珍しい、そして日本に興味がある人が増えているのが理由だったように思う。お陰で初版200

          日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その3)オランダを映す鏡

          日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その2)オランダ語の雲をつかむ

          それからの2年間は、錆びついたオランダ語を磨き直し、ほとんど読むことの無かったオランダ語の本を読み漁り、原稿を書いては直しを繰り返した。過去20年間の自分のオランダ生活を振り返り、印象に残っている出来事や、私がどうしても伝えたいことを、ポストイットに書き出して、あれこれと並べ替え、タイプし始めた。 いきなりオランダ語で書き出したはいいものの、文字数は思ったように増えない。自分が書き連ねたオランダ語を読み返してみても、人前に出して良い水準ではないのは自分でも分かった。まずは日

          日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その2)オランダ語の雲をつかむ

          日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その1)あなたの経験を本にしてみませんか?

          2020年秋、世界中がコロナのパンデミックに翻弄されている最中のことだった。「あなたの経験を本にしてみませんか?」オランダ語でこんなメールが突然舞い込んできた。これが日本語だったら、作家志望の一般人から金を巻き上げるのが目的の自費出版社かどこかからだと思い、即座にゴミ箱に捨てていたかもしれない。  メールには「あなたのインタビュー記事を雑誌で拝読しました。インタビューでお話されていたオランダでの経験談、あのような話をもっと書いて本にしてみませんか?」とある。差出人は、オランダ

          日本人、50歳でオランダ語作家になる。(その1)あなたの経験を本にしてみませんか?

          オランダ語で本を出版しました。

          2023年1月にアムステルダムの出版社Van Oorschotより『Polderjapanner』という本を出版いたしました三浦富美子です。 タイトルは”干拓地の日本人”というオランダ語で、海抜マイナス6メートルの干拓地に住んでいる日本人が、20年を超えるオランダ生活で体験したこと、考えたことをオランダ語で書き綴っています。 2024年10月に東京で開催されるヨーロッパ文芸フェスティバルにお招きいただき、初めて日本語でこの本についてお話をする機会をいただきました。 が、いか

          オランダ語で本を出版しました。