超常異能の改変作家 第14話
*
「――おはようございますですわ。二日目の朝は、どうでしょうかしらね? これからキミたちが所属するクラスを、その携帯端末に表示させていただきますわ。それでは、キミたちのクラスは、ここですわよっ!」
城のバルコニーでハーティ・ハート・ハーティアが朝の挨拶をする。
……どれどれ? 僕の所属するクラスは――。
「大公《タイコー》、せーので一緒に見せようっ!」
「わかった。いくぞ、初芽《ハツメ》っ!」
『せーのっ!』
……あっ!
「同じクラスじゃんっ!」
「はあ、よかった……ひとりじゃ心細いと思っていたから」
ホッとする初芽《ハツメ》を見る羅円《ラエン》姉妹は――。
「――よかったわっ! 付き合って、そんなに経過していないから離ればなれになってしまったことを考えたら不安だったのよ。これなら別れてしまうなんてこともないわねっ!」
「生萌《イクモ》もホッとしたっ!」
「ちょっと、麻音《アサネ》さん、生萌《イクモ》、なに別れる前提で不安になってるのよ。わたしたちは昔から一緒の幼馴染同士だよ。別れるわけなんてないわっっ!!」
「……そうだよ。僕たちは昔から一緒だったんだ。その絆が切れるなんて、ありえない」
……なんて、言ってしまっているけど、僕は、そのことをあんまり覚えていなかったりする――。
「――そういえば、その……ヤミヤミ《闇病み》カップルである、大公《タイコー》兄ちゃんと初芽《ハツメ》姉ちゃんは何クラスなのですか?」
ヤミヤミ《闇病み》カップルって……なにを言っているのだろう、この幼女は。
「一年A組だけど?」
「そうですか……」
ニタリと幼女は笑う。
「……なら、あたしと同じというわけですね」
『同じ?』
僕らカップルは声をそろえて言った。
「そう、同じなんです。こんな見た目でもね」
コホンと幼女は咳払いをしながら。
「申し遅れましたです。あたしは、こんなランドセルに小学生の幼女っぽい見た目でも高校一年生になる幼方夢莉《ウブカタ・ユーリ》と申しますです」
「高一、だと……?」
じゃあ、あと二年で合法……?
「そうです。能力は、あとでわかりますです。この見た目に関することですので、予想はしやすいと思いますが、改めて、よろしくお願いいたしますです。羅円大公《ラエン・タイコー》くん――」
*
「そうです。能力は、あとでわかりますです。この見た目に関することですので、予想はしやすいと思いますが、改めて、よろしくお願いいたしますです。羅円大公《ラエン・タイコー》くん――」
――見た目って、幼女っぽいことしか、わからないけど……。
「では、また教室で会いましょう――」
――シュン――。
――幼女の姿は瞬間的に、いなくなった。
「わたしたちも行きましょう」
「うん」
僕は麻音《アサネ》姉ちゃんと生萌《イクモ》に別れを告げ、一年A組の教室へと向かった――。
*
――ヤバい。
僕は女子に免疫がなさ過ぎるんだ。
なのに、この状況は……いったい、なんなんだ。
このクラス……――。
*
――……ほぼ、女子しかいない(汗)。
こんなことがありえるのだろうか?
なんで男子が数人しかいないんだよ。
四分の三が女子で満たされている。
しかも、どれも個性的な美少女で概念として完成されている。
まあ、確かに能力が、その者の見た目を意味するものならば、美少女の集まりになるのは当たり前か。
初芽《ハツメ》は、よくも悪くも――悪くは、ないけど――幼馴染という属性があるから、そのクラスで埋もれることはないだろうが、ほかのA組の美少女たちからしたら、ちょっと目立たないかもしれない――いや、それが、かわいいんだけど。
さっきの幼方夢莉《ウブカタ・ユーリ》は、いわゆるロリっ娘だ。
ロリという概念からして、完璧に完成されている。
A組の中で一番のロリ概念を持った少女だろう――幼女と言いたくなるが、少女だ。
それにメイドがいるんだけど。
僕、メイド大好きなんだけど、ヤバい。
本物のメイドが見れるなんて眼福モノだ。
生きててよかった。
でも、彼女からは少し「闇」を感じる――なんでだ?
あと、気になったのはケモ耳のある少女たちだ。
犬《いぬ》、猫《ねこ》、鼠《ねずみ》、兎《うさぎ》……といったような動物の耳と尻尾を生やした少女たちがいる――本物なのか、あれは?
そんな少女たちのことが気になる僕だが、どうもさっきから、あの視線がつらい。
――怒ってるよな?
若菜初芽《ワカナ・ハツメ》は僕がデレデレしてしまっている顔を見て、とても怒っている……ように見える。
なんだか、今から「大公《タイコー》!」と怒鳴ってきそうな目をしている――死にたい。
でも、僕は、まったく女性に免疫がないのだ。
もともとはアラサー童貞おっさんなわけだから、とにかく、なんとしても女性に免疫を付けなければいけない。
だから許してくれ、初芽《ハツメ》。
僕は彼のために、キミのことも愛しちゃいけないのだから――。
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