ちゃんと見てあげてね(短編小説)
*
体という器に束縛されている限り、この世界に生まれてくるものは自由になれない。
どうせなら、猫になりたかった。
僕は人間の赤ちゃんである。
そんな僕は今、ベッドの上で仰向けに寝転がっている。
そして、天井に向かって手を伸ばしている。
(……届かない)
僕の身長は、ようやく七十五センチメートルほどになったところだ。
今の僕には天井に手が届かないのだ。
しかし、だからといって諦めるわけにもいかない。
僕は、なんとかして手を伸ばそうと試みた。
(あと、ちょっとなのに……)