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面白い本・好きな本|超高層ビルの変遷から未来を占う[木・コンクリート・鉄]

世界で一番高い建物は?

これは案外簡単で、ドバイにあるブルジュ・ハリファ。高さ828mで2010年に完成した超高層ビル。今年は2025年なので、時が経つのはとても早い、、、

では、2009年の世界一高いビルは?

答えは台湾にある台北101。高さ509mで2004年に完成した超高層ビル。時を遡ること、さらに6年。じゃぁ、その前の世界一は、、、と過去を辿っていくとなかなか面白い傾向が見えてくる。

明けましておめでとうございます

歴代の世界一高い建物

結果はこんな感じ。何千年も前に遡っても世界一となったビルの数はたったの20棟。そして、最初に世界一になったエジプトのピラミッドは何千年も記録が塗り替えられることなく記録を保持し続けていた。

世界経済の中心が、世界一でみえてくる

紀元前2500年から記録を塗りかえる建物はすべて古代オリエント。エジプト文明、メソポタミア文明など、世界の中心はもちろんこの地域。そして、ようやく記録を塗り替えたのは1000年前のゴシック建築。世界の中心はもちろんヨーロッパ。

次に記録を抜くのは、ルネッサンスでもバロックでもなく、アメリカの超高層ビル。エンパイアステートビル、WTCなどなど、いくつも記録を塗り替えるけど、すべてアメリカのもの。当然、世界の中心はアメリカ。

1996年、アジアの建築が初めて世界一へ

マレーシアのペトロナスタワーが完成すると、台北101、ブルジュ・ハリファとすべてアジアの建築が記録を塗り替える。そして、別の大陸の建築が世界一になったとき、世界経済の中心がアジアではなくなる合図であり、その大陸は、アフリカなのか?南米なのか?

超構造ビルの変遷で未来を占う


庭に灯籠を置いてみる


木|棟梁

1000年の時の流れを感じる

法隆寺最後の宮大工・故西岡常一の内弟子を務めた後、「鵤工舎」を設立、数々の寺社建設を手がけ、後進を育てた著者が、引退を機に語る金言。

単純がいい。人も建物も図面も、単純できれいに無駄のないものじゃなくちゃだめ。木は強い。鉄やコンクリートより強い。

建築基準法でお寺の基礎をコンクリートにしてから、一番弱いのは基礎になった。法律はたかだか何十年の歴史の中での基準だが、お寺は千三百年の伝統の中で育まれている。

宮大工は木の性質・癖を上手く活かしてかみ合せ1000年先を見越して寺社を建てる。均一化されたものは弱い。

コンクリート|バベる!

200年の耐用年数を誇るRC

東京港区で5000万円の土地を1500万円に値切って手に入れた30㎡弱の土地に、自邸を設計して自分でつくるドキュメント。

2005年につくりはじめ、未だ建築中というそのストーリーもさることながら、高専を卒業後、サラリーマン、建築現場作業員を経て、無職(というか自邸を建設する仕事に従事)する著者の経歴、「蟻鱒鳶ル」という説明されるまでなんのことがわからない名前を自邸につけるセンス、200年の耐用年数をもつコンクリートに対する熱い思いなど、筆舌に尽くしがたいものがこの本にはある。

鉄|都市は人類最高の発明である

数十年の都市化に寄与した鉄骨

マンハッタン生まれのハーバード大学 経済学部教授の本。交通・ITの発達によって、世界は1つに結ばれフラット化すると言われていたが、現実は人も富も大都市部へと集中している。その理由は都市の「密集性」 と 「多様性」 にあると言う。

そのために必要なのは都市の高層化。高層化することで住宅価格は下がり、多様な人が生活できるようになる。結果、都市はイノベーションを育み、社会を発展させる。

高層化は手段であり、人的資本の集積こそが目的。

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