3つの好きな映画|野球の周辺で繰り広げられる人生ドラマ[応援席、元部員、ベンチ、補欠、幽霊部員、退部、、、]
応援席、元部員、ベンチ、補欠、幽霊部員
映画のような幕切のWBCを見た今だからこそ、野球の試合だけではない、その周辺に目を向けてみるのもいいのでは?と言う話。
野球の周辺で繰り広げられる人生ドラマ
応援席、元部位
「野球シーンがひとつもない野球映画」
ベンチ、補欠
「愛すべき補欠たちの、もうひとつの甲子園」
退部、幽霊部員
「ある日、キャプテン桐島が部活をやめる」
ぴかぴか光る、つぶつぶ
18歳で記憶喪失になった草木染作家・坪倉優介の本を読む。全てを忘れて、赤ちゃんの状態に戻りながらも、ゼロから経験したことを綴ったもの。
自分が赤ちゃんの時に、初めてごはんを食べた時の感想なんて覚えていない。初めてエスカレーターを見たときに、どう思ったかも覚えてない。
でも、坪倉さんは全て記憶に残っており、それらのエピソードがまるで赤ちゃんの気持ちを代弁してくれているようで、とても興味深い。
初めてごはん(白米)を食べたときのこと。
誰も経験したことがない、前人未到の〜という枕詞がついてまわる大谷翔平は、「ぴかぴか光る、つぶつぶ」のような、初めて経験することがどれだけ多いかことか。
先入観なく、ただまっすぐに世界を見る
草木染作家・坪倉氏の著書の冒頭に、走る車から見える電線の描写がある。
『電線』という言葉を一度も使わずに、これほど生き生きとした描写はそうできない。『電線』と言う言葉を知らないし、それが電線であることも知らないのではあるけれど。
赤ちゃんは、なんの先入観もなく世界を見る。でも、言葉にする術はない。言葉を覚えたころには、その瑞々しい感覚は失われている。
赤ちゃんの気持ちを代弁する
坪倉さんの無垢な眼差し
試合に出る当事者ではないからこそ、先入観なく、無垢で、ただまっすぐに野球を見つめることができる3つの面白い映画。
最高の高校野球映画。
アルプススタンドのはしの方|応援席、元部員
野球シーンがひとつもない野球映画
アルプススタンドのはしの方の応援席。控え投手に嫌気が差して退部した元野球部員と、野球のルールがわからない演劇部員と帰宅部の会話劇。
8回表、万年ベンチでも懸命に練習を続けた選手が、大舞台で送りバンドを成功させる。勝利が近づく。そして9回、ツーアウト満塁のチャンスを迎えバッターは、先ほど送りバントを成功させた矢野。さてどうなるか?
ラストは、数年後に社会人になってプロ野球の観戦で再開する。その理由がわかり、とても心地いい。
野球のシーンも、選手も映らない。
でも、見えないものが見える、名作戯曲の野球映画
ひゃくはち|ベンチ、補欠
愛すべき補欠たちの、もうひとつの甲子園
高校野球の名門校。補欠の目標は、甲子園のベンチにはいること。プロからも注目を集める主力選手たちと一緒に、血のにじむような猛練習に耐える日々を送りながら、ベンチメンバーに入るために、あの手この手を駆使する日々。
煩悩の数は108、野球ボールの縫い目の数も108
タバコ、酒、合コン、記者との癒着などなど、煩悩は山ほどある。清く美しい球児、煌めくスーパースターを描く映画ではまったくない。美化されがちな高校野球のリアルな姿がそこにある。
「野球好き」が溢れる、補欠讃歌
桐島、部活やめるってよ|退部、幽霊部員
ある日、バレー部キャプテン桐島が部活をやめる
スクールカーストのトップ、桐島が突然誰にも相談することもなく、部活を辞めた。なぜ辞めたのか、だれも検討がつかない。本人不在のまま、周囲が当惑し、振り回され、徐々に校内の歯車が狂いはじめる、、、
桐島は、最後まで一度も姿を見せない。描かない。
何度も野球部キャプテンから試合に出てほしいと、何度誘われようとも、無気力に断る幽霊部員。対照的に、キャプテンは甲子園の予選に落ちても「ドラフトが終わるまでは、、ね」と、来るわけもないドラフトを待って、練習をひたむきに続ける。
好きなことをやっているやつが勝つ
人生の意味を見つけ、自分自身にたどりつくまでの物語
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