3つの好きな映画|やっぱりインドは面白い![都市、学歴、格差、階級、因習]編
来年、インドの人口が15億人で世界一
長い間、中国が世界一だったけど、いよいよ来年インドに1位の座を明け渡す。世界の人口は70億人。アジア40億人、アフリカ10億、欧州10億、北南米10億。アジアだけ突出した歪な人口分布。。
大航海時代から長く世界の中心だった欧州が、20世紀にアメリカへ移り、21世紀はアジアの時代へ。なんと、2050年には中国とインドのGDPが1・2位になると予測されている。
ちなみに、2100年の世界人口は110億人。アフリカの台頭はあるものの、人口だけみれば、まだまだ世界一はアジア。
AdobeやIBMのCEOがインド系なら、Microsoft(2014)、Google(2015)、Twitterの次期CEOもインド系と言われるほどにインドの台頭は著しい。
せっかくインドが世界一になるのだから、その国の実態を覗いてみるのものいいのでは?という話。
急成長をとげるインドには「竹」がいい?
巨大な人口を抱えるインドの都市では、建物やインフラの早急な整備に直面している。つまり、建設資材が膨大に必要となる。そこで、調達が容易で、丈夫で、低コストな「竹」はとても魅力的。
竹は、暑い熱帯地域からチベットの寒い山々まで、アジア地域に幅広く自生しており、木材の10倍の速度で成長する。あっというまに資材調達ができてしまう。
さらに、その成長の速さ、しなやかさから、中国では「文化と価値観の象徴」といわれ、日本では「繁栄の象徴」であり、インドでは「友好の象徴」となっている。太古の昔から、竹はアジア文化の中心的な位置を占めてきた。
急速に発展を遂げる都市建築の課題は
文化的アイデンティティを再発見すること
竹でつくられた都市建築は、自分たちのルーツと自然をつなぎ、持続的な都市の未来をつくりだすことができる、かも。
と、いうことで急成長を遂げるインドの明るい未来を、都市・学歴・格差・階級・因習という視点で垣間見る3つの映画。
きっと、うまくいく|2009
学歴社会を、深く面白く風刺する
インド映画の最高傑作
インド工科大学の滑り止めが、マサチューセッツ工科大とも言われるほどの熾烈な受験戦争。「世界三大難関試験」とも言われる。そんな大学を起点に、厳しい競争社会と自殺率の高さを風刺するコメディ映画。
競争とカオスに揉まれて懸命に生きる。
でもきっと、うまくいくから。
そんなメッセージに包まれる暖かい映画。
インド憲法はカーストに基づいた差別を禁止している。社会的弱者を優遇する制度を定め、大学入学者の15%を社会的弱者に割り当てる。その結果、授業についていけない被差別カーストの学生が生まれ、受験に落ちた高位カーストは「逆差別」と批判する。
肌の色が白くなるほど、高位カーストの割合が高くなる。
そんな事実を理解した上で映画を観ると、より深く楽しめる。
ガリーボーイ|2019
自分の言葉で運命を変える、驚きの実話
ムンバイのスラム育ちの若者。ラップに出会い、自分の可能性を信じて夢を追いかけるストーリー。
「使用人の子供は使用人、人生は甘くない、夢をみるな」
スラムで暮らしながらも、息子を大学に通わせ堅実に生きてほしい願う両親。両親の言葉は重い束縛となるが、諦めない。
まだまだ古い慣習や価値観の残る古風な親世代と、それに追従することに抵抗を感じている若い世代との対比を鮮やかに描き出す。
この映画の監督・脚本は共に女性。
男尊女卑が色濃く残るインド社会における、新しい女性像を描きたいという、強いメッセージもしっかり伝わるいい映画。
あなたの名前が呼べたなら|2018
近くて遠いふたつの世界が交差する
経済発展著しいインドのムンバイ。農村出身のメイドの夢はファッションデザイナー。夫を亡くした彼女が住み込みで働くのは、建設会社の新婚の御曹司……のはずだったが、婚約者の浮気が発覚し破談に。
夫を亡くしたメイドは言う。
「村の風習で私は死ぬまで未亡人です」
広すぎる高級マンションで暮らす傷心の御曹司を気遣いながら、身の回りの世話をするメイド。「名前で呼んで欲しい」という彼の願いに対して、階級差や体面を気にして「旦那様」と呼び続けるメイド。
根強く生きる因習と階級格差のなかで、ふたりはどうなるか…
ガリーボーイ同様に、こちらも女性監督の作品。カンヌが注目する長編デビュー作。少しずつ未来に向けて良くなっていくインドの社会を垣間見る。
高位カーストほど、英語で話す機会が多い
英語とヒンディー語を併用する社会でも、そんな事実を知っていると、より深く映画を楽しめる。
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