見出し画像

3つの好きな映画|地に根差し、四季に寄り添い、滋味溢れる[あん、日日是好日、リトル・フォレスト 春夏秋冬]

母音を中心とする日本語は
世界的に珍しく美しい

日本語は子音だけで発音することはない。さ(S+あ)も(M+お)など、必ず子音と母音がセットとなる。日本語以外では、ハワイ・ポリネシア語族だけに見られる特徴で、世界的にとっても珍しい。

Aloha(アロハ)」「Mahalo(マハロ)」など、ハワイ語が日本人に馴染みやすいのはそのため。

そんな当たり前すぎて気づかない、日本語や日本の文化について考えてみるのもいいのでは、という話。

雑音と感じるか、美しいと感じるか

母音は、声帯の振動をそのまま伝える音で、痛いときには「うー」、感動した時には「おー」と自然な音が発せられる。自然な音に馴染み深いので、小川のせせらぎ虫の声を、美しい音色で聴きとることができるという。

子音を中心とした言語では、自然音は雑音にしか聞こえない。ハワイや日本の人だけが、自然に存在する音色を、言語のように捉えることができる。

自然の神秘を尊重する日本語は美しい

あん|あずき

この世にあるものは全て言葉を持っている

縁あってどら焼き屋の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎。ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。老女の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。しかし心ない噂が、彼らの運命を大きく変えていく…
あらすじ
HPより

小豆のコトコト煮立つ音、風に靡く草木のざわめき、小鳥の囀り。生きているということを、日常の些細な音を通して、感じとる。

監督は河瀬直美樹木希林の最後の主演作品。元ハンセン病患者の老女が尊厳を失わず生きようとする姿を丁寧に紡ぐ、上質な日本映画。

何かになれなくても、生きていく意味がある


日日是好日|茶道

五感を使って、全身で、その瞬間を味わう

たちまち過ぎていく大学生活、二十歳の典子は自分が「本当にやりたいこと」を見つけられずにいた。なんとなく茶道教室へ通い始めることに。そこで二人を待ち受けていたのは、今まで見たことも聞いたこともない、おかしな「決まりごと」だらけの世界だった――。
あらすじ
京都|HAKU

伝統文化でもある「茶道」に惹かれた女性が歩む、静かでまっすぐな人生が丁寧に描かれる映画。美しく厳かな茶道の雰囲気に包まれる。樹木希林の遺作。

雨の日は雨を聞く。雪の日は雪を見て、夏には夏の暑さを、冬には身の切れるような寒さを。五感を使って、全身で、その瞬間を味わう。

季節のように、生きる


リトル・フォレスト|春夏秋冬

心の芯まで温まる、滋味あふれる物語

東北のとある小さな集落の古びた一軒家で、ひとりで暮らすいち子。一度都会に出るも自分の居場所が見つけられずに戻ってきた彼女は、厳しい冬に耐えるための保存食を作り、静かな生活を送っていた。そんないち子のもとに5年前に失踪した母親から手紙が届く。
あらすじ
但馬|床瀬蕎麦

とても自然で違和感なく、淡々とした田舎暮らし。自然に寄り添い、変わりゆく季節の中で自然を味わう。

五十嵐大介による漫画が原作で、橋本愛が主演を務める。四季を映しとった春夏秋冬の4部作。

生きるために食べる。食べるために作る


関連記事

映画|音のない世界

本|日本の文化“省略の美学”

旅|国宝


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集