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3つの好きな映画|映画を観るか、原作読むか[八日目の蝉、朝が来る、あのこは貴族]
純文学の芥川賞、大衆文学の直木賞。
[純文学]
芸術性を求める“美術館”のような物語
芥川、太宰、村上春樹、平野啓一郎、川上未映子、村田沙耶香などなど
[大衆文学]
エンタメ性のある“遊園地”のような物語
ジャンルが明確で、ストーリー性のある物語
まぁ、そんなにはっきりと二つに整理できなと思うけど、目安として。
映画と親和性が高いのは、やっぱり純文学ではなく大衆文学。「感動の恋愛もの」「思いもよらない結末に」というキャッチーなフレーズが使えたり、起承転結が明確なので、映画にするにはもってこい。
反面、純文学の映画を観たいとは、あまり思わない。好みの問題ではあるけれど、自分のペースで文章を読みたいし、読書体験を超える映像に今のところ出会ったことがないような、、、
「大衆文学」は映画も観る
「純文学」は本で読む
これが今のところの自分の結論。ということで、“大衆文学”が原作で、その映像表現がとてもよかった邦画3選。
映画を観て楽しむのもよし、映画を観てから本を読むのもよし、本を読んでから映画を観るのもよし、という話。
本を読むのが好き
「よく本を読む」と聞いたときに、まず気になってしまうのが、どういった本を読む人か。恋愛やミステリー、歴史ものというジャンルの本を読む人か、純文学を読むか。はたまた特定に専門書をよく読む人か、ビジネス本を読む人か。
なので、ひとまずビジュアル化
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自分自身が、十進分類の全ジャンルを浅く広く読むタイプなので、ある作家の小説を深掘りする、ということはまずしない。03に分類されるビジネス本をよく読むわけでもなく、仕事に関連する05や07を重点的に読むわけでもない。国も時代ももうバラバラ。
「読書好き」といっても人それぞれ。
それでいいし、それがいい。
八日目の蝉|角田光代
優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした
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「子供の誘拐事件」をきっかけに家族とは?母親とはなにか?を考えさせられる物語。
最近公開された映画『流浪の月』や是枝監督の『万引き家族』が好きな人は、こちらもおすすめ。『流浪の月』が男性による誘拐、『万引き家族』は家族による誘拐、そして『八日目の蝉』は女性による誘拐。
誰に感情移入するかで、感じ取るものも違ってくる作品。そして、小豆島の虫送りの圧倒的な映像美と、俳優陣の凄み。これはやっぱり映画で体験したい。
朝が来る|辻村深月
幸せな家族へ突然の電話「子供を返してほしい」
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「特別養子縁組」という制度をきっかけに、手に入れた子供、手放した子供、家族について考えさせられる物語。
一度落ちると、這い上がるのは難しく、一度手放したものも、再び手に入れるのは難しい。
手紙から浮かび上がる文字、エンドロールの最後の最後で聞こえる言葉に、衝撃を受ける。これが映画の醍醐味。
あのこは貴族|山内マリコ
違う階層で生きていても、同じ空を見ている
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地域格差、階級社会、女性をしばる価値観がうごめく東京の街で、懸命に生きる人々の物語。「東京の養分」というとっても印象的な言葉もあり。
同じ街にいるのに、違う階層で生きている。
タクシーと自転車の対比、東京駅や東京タワーの見える風景、自然と滲み出る貴族の雰囲気。映像表現のなせる技。
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