面白い本・好きな本|考える、耳を澄ます、研ぎ澄ます[夜空と宇宙とアインシュタイン]
考えることは、耳を澄ますこと、研ぎ澄ますこと
「考える」とは、とにかく何かをすることだ、そう思っているかもしれない。でも、それはどうも違うみたい。『はじめて考えるときのように』という本で出会った、とてもいい例えがひとつ。
考えるとは「ずっとそのつもり」でいること
考えている と 考えていない
「考える」っていうのは、ぜんぜん心の状態や心の動きなんかじゃない。頭の中で「思考」という作業をしているわけじゃない。じゃぁ、「考えていない」と何が違うか。
それは、耳を澄まして、研ぎ澄ましていること
考えている最中、考えていない人と同じように行動してていい。いろんなことをして、いろんなものを見て、いろんなことを感じて、いろんな思いがよぎる。ただ違うのは1点、「あ、これだ!」という心の声をキャッチできるように、耳を澄まし、研ぎ澄ますこと。
ということで、20世紀の大天才 アインシュタインの考えていたことを考える。感性を研ぎ澄まし、心の声に耳を澄まし、呼吸をするように考え続けた天才の息吹を感じ取る。
神はサイコロを振らない?
量子革命|2022ノーベル賞
神はサイコロを振らない
20世紀最大の発見となった「量子」。量子とは粒子でもあって、波である、そんな不思議なもの。その謎に挑んだアインシュタインの物語。
アインシュタイは言う、神はサイコロを振らない
ニュートン力学を覆し、新しい世界像を提示するボーア。量子はどこにあるか明確にはわからない。確率でしか表せない。そのおかしさを、「サイコロ」と表現したのがアインシュタイン。
その解釈をめぐり、アインシュタインとボーアが論争を繰り広げる。そして、軍配はボーアに上がる。アインシュタインは最後まで量子力学を受け入れなかった。「あのアインシュタインも、年老いてひびの入った骨董品のようになり、新しい量子力学についてこれなくなった」と言われる。
でも、話はここで終わらない。
現代になり、量子力学は疑問視されるようになってきた。量子力学が根本的に不完全だというアインシュタインの主張を支持する研究者が増えてきた。2022年には量子テレポーテーションに成功した研究者がノーベル物理学賞を受賞し、まだまだ量子力学は発展途上であること示す。
半世紀ものあいだ「考え続けた」アインシュタインは、実は敗北していなかった____
重力波は歌う|2017ノーベル賞
アインシュタインの宿題
1916年アインシュタインによって一般相対性理論が生み出された。この理論によって、光が重力で曲がること、ブラックホールがあること、宇宙が膨張すること、そして重力波かあることが予言される___
光が曲がること、ブラックホールがあること、宇宙が膨張することは、予言通り宇宙を観察することで確認できた。あとは重力波を残すのみ。そんな経緯があるので、重力波=「アインシュタインの最後の宿題」と言われている。
100年の時を経て、ついに重力波を見つける
ノーベル物理学賞を受賞した歴史的偉業の裏には、どんなドラマがあったのか?天文学の新地平を切り拓く挑戦の全貌を関係者への直接取材をもとに描き出す、出色のサイエンス・ドキュメンタリー。
頭で「考える」。新しいものを生み出す。これは、理論物理のすることで、アインシュタインが100年前にやったこと。
考えたことが合っているか「確認する」。実際で見つける。これは、実験物理のすること。これが今回の偉業となる。
「考える」と「確認する」の壮大なバトンリレー
ビッグクエスチョンズ|2011ノーベル賞
夜空はなぜ暗いのか
夜空にはたくさんの星が光っている。夜空を球体と仮定したとき、球面の面積は距離の2乗に比例して増える。空の面積が2乗で増えるので、星の数も距離の2乗に比例して増えることになる。反対に、光の強さは距離の2乗に反比例して弱くなる。つまり、近い星は明るいけど少なく、遠い星は暗いけど多い。どちらも合計の明るさは同じ。
宇宙が無限だとすると、無限のかなたから小さな光が、無数に届くことになる。夜空は光輝くことになる。でも、夜空は暗い。なぜ?
宇宙は無限ではなく、有限だから
ここで話は終わらない。実際に計算すると、もう少し明るくてもいいはずなのに、思ったよりも夜空は暗い。なぜ?
宇宙は膨張しているから
膨張していると、星は地球から見て遠ざかっていることになる。遠ざかる救急車のサイレンの音が低くなるように、遠ざかる星の光は波長が伸びる。赤外線になるまで波長が伸びると、もう人間の目には見えなくなってしまう。
宇宙は有限で、膨張してる
なので,夜空は暗い
アインシュタインも計算で宇宙が膨張するという答えを導き出す。でも当時、宇宙が膨張なんてするわけないと考える。計算結果が間違っていると判断し、数式に無理やり「宇宙定数」を加えてしまう。これで、数式上でも膨張しない結果が得られることになる。
この出来事をのちに「人生最大の過ち」と
本人は振り返る
でも、ここで話は終わらない。
現代になり,計算から導き出される膨張速度と、実際に観測される膨張速度に違いがあることがわかってきた。やっぱり「宇宙定数」を加えて、膨張を少し抑える必要が出てきた。
アインシュタインの過ちが、現代になって甦る
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