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面白い本・好きな本|圧巻の無音演出に震える名作漫画[SLAM DUNK|スラムダンク+BLUE GIANT|ブルージャイアント]
AIはクリエイティブになれるか?
漫画の神様 手塚治虫の新作漫画が生まれた、と数年前に話題になる。手塚漫画160作品をAIが学習し、シナリオとキャラクターを創作したもの。
最終的には人間が何パターンもあるシナリオやキャラクターから、最適と思われるものを選び、微修正してひとつの作品として創った、と。
人間に問われるのは「組み合わせのセンス」
最近何かと話題のChatGPTやBing AIといった会話AIも、MidjourneyやDALL -Eといった画像生成AIも、何か「条件」を与えれば瞬時に「解」は得られてしまう。同じ指示をしても、次の瞬間には、また別の「解」が出てくる。
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人間に求められるのは、無数の解から何を選び、何と何を組み合わせるか。問われるのは取捨選択、組み合わせ、意思決定の強度。
クリエイティブは人間、AIはツールのひとつ
ということで、「無限」の可能性の中から、「無音」を選択した名作漫画2選。圧巻の無音演出に震える漫画でもどうでしょう、という話。
『きかんしゃトーマス』の深いい話
原作は、イギリスのウィルバート・オードリー牧師による絵本。病気療養中の2歳の息子を励ますためにつくった作品だという。
多くの絵本は、健康で食欲のある子供を無意識に想定しているので、おいしいくお菓子を食べる場面や、元気いっぱいに外で遊ぶ場面が、遠慮なく出てくる。
その点、トーマスには食事の場面が出てこない。子供らしい遊びの場面もない。そもそも機関車なので手も足もない。
絶食中においしいケーキや果物をみるのはつらい
入院中に外で元気に走り回る姿をみるのはつらい
食べることも、からだを動かすこともできない子供が楽しめ物語をつくったオードリー牧師は、きっとそんな子供の気持ちに寄り添ったにちがいない。
数学研究者である森田真生氏が、自身の子供が入院中にトーマスのDVDを楽しそうに鑑賞している姿を見て気づいたという。とてもいい話。
SLAM DUNK|スラムダンク
圧巻の無音演出に震える数秒の緊張感
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最近映画化されて、目にする機会が増えた名作漫画。特に有名なのは、最終31巻でのこと。山王戦のラスト30秒は、桜木以外誰ひとりセリフを発しない。ただただ無音の中、試合の様子が描かれている。
セリフがないことで、研ぎ澄まされた緊張感が生まれ、最後の感動につながる演出は圧巻のひとこと。
漫画だけでなく、映画もおすすめ。
BLUE GIANT|ブルージャイアント
セリフも擬音もないのに、画から音が聞こえる
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つい最近映画公開されたので、これからどんどん話題になっていくと思われる名作ジャズ漫画。
圧巻なのは、兎にも角にも躍動感ある即興演奏の描写。そこから伝わってくるのは、金菅に吹き込まれる息づかいと、管を震わし振動する空気感。演奏者の身体性とライブ感。
セリフも擬音もないのに、画から音が聞こえる
巻末のボーナストラックが、ストーリーに深みを与える演出もとてもいい。音楽だけでなく、漫画にもボーナストラックがあったんだ、という気づき。
公開中の映画もおすすめ。
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