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面白い本・好きな本|読書で、酔って、迷って、彷徨って[本心、黄色い家、東京都同情塔]
読書で酔っ払う
本を読む。初めは本の内容が頭を巡り、本の世界に入り込む。ふと気づくと、本を読みながら別のことも考えている。気は散ってない。本の内容も頭に入ってきているのに、他のことも考えている。
脳がふたつに増えたみたい
何か考え事をしたいときに、一人静かなところで目を閉じても雑念が邪魔をする。そんなときは本を読む。本をきっかけに、思考の迷宮へ。読んで読んで酔っ払う。
酔って、迷って、彷徨って
外から見ればただ静かに読書をしている人なんだけど、頭の中は思考の旅人。ふわふわ酔っ払って、ふらふら迷って、ゆらゆら彷徨う。
最高の読書体験
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原っぱ と 遊園地
どちらも遊ぶところだけど、中身は全然違う。遊園地は目的がはっきりしている。くるくる回って楽しいもの、早くて怖いもの、水に濡れてびっくりするもの。
じゃぁ、原っぱでは何をする?
鬼ごっこをしてもいいし、野球をしてもいいし、昼寝をしてもいい。土管があれば、ジャイアンはリサイタルをするだろう。原っぱは何をしてもいいところ。
本も建築と同じ?
大衆文学はジャンルが明確で、ストーリー性のあるもの。「感動の恋愛もの」「思いもよらない結末に」というキャッチーなフレーズが使えたり、起承転結が明確なもの。遊園地のような本。
純文学は受け取り方は読み手に委ねられる。本のジャンルもよくわからない。明確な結論もない。原っぱのような本。
原っぱ ≒ 純文学
遊園地 ≒ 大衆文学
ということで、純文学の原っぱで読んで読んで酔っ払う。ふわふわ酔っ払って、ふらふら迷って、ゆらゆら彷徨う。最高の原っぱで酔っ払うのはどうでしょう、という話。
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本心|平野啓一郎
愛する人の本当の心を知ってますか?
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「自由死」が合法化された近未来。「自由死」を望んだ母の本心を探るため、AIアバターで母を甦らせる。
生前の写真、動画、SNSやメールなど、生前に残されたあらゆるデジタルデータをAIに学習させることで、故人をデジタル空間に再現させる。そんなサービスが当たり前になっている近未来がとてもリアルで、一気に本の世界に引き込まれる。
SNSやメールのやり取りを辿れば、いつ誰とどんなことをしていたかわかるし、写真や動画で喋り方まで再現される。AIアバターと会話をするなかで、母の特徴を伝えていけば、どんどん生前の母に近づいていく。母の記憶がデジテル空間で再構築されていく。
生前の母の本心は、アバターから聞けるのか?
黄色い家|川上未映子
黄色はお金、黄色は危険、黄色はエネルギー
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2020年、主人公は監禁・傷害事件のニュース記事を見つける。長らく忘却していた20年前の記憶が蘇り、舞台は一気に90年代に遡る。
物語の導入から読者を引き込む流れはもう最高。貧困、格差、犯罪、自己責任論、努力の種類、、現代社会の闇がリアルでもう抜け出せない。
努力をしてないのではなく、努力の方向が違う
方向が違うことすら気づけず、努力を続ける
ポケベル、クリスチャン・ラッセン、X JAPAN。90年代のリアルな社会描写と共に、止まることのない怒涛の展開。人はなぜ金に狂い、罪を犯すのか。本を読みながら、そんなことをずっと考えさせられる。
住んでも、済まないし、決して澄むこともない
東京都同情塔|九段理江
物語が描く幻の“近未来”
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舞台は2026年から2030年の東京・新宿。この世界ではザハの設計した新国立競技場が建設され、東京オリンピックが予定通り開催されている。
建設コストなど諸説紛々でザハ案が廃止となり、コロナの蔓延によりオリンピックが延期になった現実とは異なる世界。
主人公は女性建築家
新国立競技場の横に高層の刑務所を設計する。犯罪者は不幸な境遇の「同情されるべき人々」と再定義され、そこで満ち足りた生活を送る。建物名称は刑務所ではなく、東京都同情塔。
ユートピアか、デストピアか
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