![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144273448/rectangle_large_type_2_2da6ce4c6155790729efe6039dbf1a20.png?width=1200)
『漱石とその時代』第ニ部
第二部です。それではよろしくお願いいたします😊。
第二部❬表紙❭ 筆者(江藤淳)
『明治三十三年(1900)十月、漱石は官命によって英京ロンドンに留学した。それはヴィクトリア女皇崩御直前のロンドン、都市化と産業化の波に洗われつつあるロンドンであった。この大都会に投入されて錯乱した一人の孤独な留学生から、夏目漱石という作家が誕生するまでの変身の過程を、私は第二部に描こうとした。私はいわば、漱石を文学史と「漱石全集」から自分の手に奪還したかったのである。』
第二部❬裏表紙❭ 小林秀雄
『江藤淳氏の漱石研究は久しい事だが、今度、又、伝記の形式で大部のものを書くと言う。その第一部第二部を読んだが、大変面白かった。言ってみれば、研究者が育てば、研究対象も、それにつれて育つというような緊密な関係が、評家と漱石との間に結ばれているのが、その筆致の伸びによって感じられたからである。もう一つ。漱石を、その時代と対決する人物として描き出そうとする江藤氏の方法は、潤色を嫌う点で歴史家のものだが、どんな史観からも自由である点では、やはり文学者のものだ。史観など無用有害な潤色に過ぎない。一切は、漱石の作品という一等資料がどこまで味読出来るか、という己の力量にかかっている、この評家はそう言っているように思われた。』
ふたつ、気になる言葉があったので調べました。
⭐️「潤色」:(色を塗ってうるおいをそえることから)事柄をつくろい飾ること。話などにおもしろみを加えて仕上げること。
⭐️「味読」:内容を味わいながら読むこと
(※ともに旺文社国語辞典を参照。)
第一部の中村光夫の文章は、深い教養と包容力を感じました。
第二部の小林秀雄の文章は、鋭い知性を感じました。
こうして読み比べて見ると、両氏の文章の魅力が光ります。
お読みいただき、ありがとうございました😊
『漱石とその時代』(第二部)〈新潮選書〉
江藤淳
昭和45(1970)年8月31日発行
新版 2009年5月30日35刷
#新潮選書 #夏目漱石 #江藤淳 #小林秀雄