ちょっと不真面目に飲食店接客を考える③
これは、僕の経験と実績から飲食店向けの営業方法を不真面目に考える連載です。これを読んで実践してみて、万が一失敗したらごめんなさい。
クレームの原理(後編)……アルバイト採用と教育論③
後編は、クレームを未然に防ぐ解答だ。
でもその前に、顧客が増える理由と減る理由を話しておきたい。
店長として頑張ってる君たちは、
「お客様がこの店に期待しているからわざわざ苦言を申し出てくれてるんだ。裏を返せばこの店が好きって証拠なんだよ。だから、この対応を機にお店の常連になる可能性が高いんだ。わかるな……心して誠実な対応を心がけるんだぞ」
なんて上司に口酸っぱく言われてきたと思う。
そんなのは、ハッキリ言って大噓である。
そりゃ奇特な方がいらっしゃる可能性は否定できないけど、まずクレームを入れたお客様は二度と来ない。これは僕の経験上99.9%間違いない事実だ。
だからと言って、場当たり的な対応をしろって訳じゃなくて、誠意ある対応をするのは人として当たり前。それに周囲のお客様もその様子をしっかりと観察しているからね。
まともな対応が出来なければ、それを見ていたお客様も足が遠のいてしまう。雰囲気の悪い店と記憶してしまうからだ。
お客様は、来店するまでに数々のハードルを乗り越えて君の店にたどり着いている。
理由は簡単……君の店を覚えていたからだ。
僕の経験で言えば、お店が繁盛する第一の理由は、お客様に楽しかった食事の記憶がどれだけ深く刻み込まれているかどうかだ。
よく「俺の腕一本でこの店は成り立ってる」とか豪語する職人気質のシェフや板長がいるけれど、それは数少ない高級店だけの話であり、ただの妄想に過ぎない。僕は断言するけれど、集客に対して料理の味はほとんど関係がない。もしも「俺の店は人気店だぞ!」だとしたら、それは美味しい料理を作るシェフの人柄が人気の理由であって味はオマケ程度の理由でしかない。
たとえばメンタルがボロボロのとき「ご飯の味がわからない」なんてのはよくある話。つまり食事のときの状況次第で、料理の味や印象はガラッと変わってしまうものなのだ。
そもそも、いまどき世の中にあるお店のほとんどが不味い料理なんて提供しないもんね。
お客様の記憶にある大切な一番は、お店で食べたときのシチュエーションに他ならない。誰と食べたか?どんなときに食べたか?そのとき何が起こったか?などが記憶の大部分であって、そのときの楽しかった出来事が料理を美味しいと思わせたのだ。
考えてみて欲しい……君は3回前に外食したときのメニューを覚えているだろうか?ほとんどの人が答えられないと思う。そんなものだ。僕なんか3日前の晩ご飯ですら思い出せない。
サポートするってちょっとした勇気ですよね。僕もそう。書き手はその勇気に対して責任も感じるし、もっと頑張ろうと思うもの。「えいや!」とサポートしてくれた方の記憶に残れたらとても嬉しいです。