ちょっと不真面目に飲食店接客を考える②
これは、僕の経験と実績から飲食店向けの営業方法を不真面目に考える連載です。これを読んで実践してみて、万が一失敗したらごめんなさい。
クレームの原理(前編)……アルバイト採用と教育論②
アルバイト教育において悩みのタネは、お客様のクレーム対応だ。
今回は現実的な状況を想像して説明するから心してね。
◇◇◇
さて、お客様が怒るって相当なことである。
なぜなら、お客様は
「よーし、この店で一発キレてやるぞー!」
ていう意気込みで来店することがないから。
当たり前だけど、みんな誰もが楽しく食事しようと思ってるはずなんだ。
でも現実の君は、めちゃくちゃお客様が怒っているところに行って平謝りすることになる。
なぜこんなことになるんだろう……。
ということで、ここからお客様がキレるまでを想像でシミュレーションしてみたいと思う。これを僕は「クレームの壺」と言ってバイトの子に教えている。
―― お客様が来店
レジ前に立っても従業員は忙しそうで気づいてくれません。
お客様:「なんだよ……どこでも座っていいのかな?」
すると、従業員のひとりがやっと気づいて声を掛けてくれました。
バイトA:「少々お待ちください。すぐにご案内します。」
お客様:空いている席があるのになぁ……と不満に思ったけれど、忙しそうだし仕方ないか……と待ち席に座ります。
程なくして
バイトA:「お待たせしました ご案内します」
と声が掛かり、客席に案内されました。
バイトA:「こちらにどうぞ ご注文お決まりになりましたらお呼びください」
お客様:「ありがとう」
◇
お客様:「すみませーん」
手を挙げて従業員を呼んでも、みんな忙しそうにしていて誰も気づいてくれません。
お客様:なんだよ……あいつこっちに気付いたんじゃないのか?こっち見たようだったけどなぁ……と思いつつ、何度も従業員を呼びました。
程なくしてさっきとは別のバイトの子がこちらにやってきます。
バイトB:「大変お待たせしました ご注文お伺いします」
ようやくハンバーグランチの注文ができました。
でも、お水もおしぼりもまだ受け取っていません。他のお客様には手渡しされています。
お客様:「あの、お水とおしぼりもらえますか?」
バイトB:「申し訳ございません すぐ持ってきます!」
と慌ててキッチンまで戻り、お水とおしぼりを持ってきてくれました。
お客様:「ありがとう」
バイトB:「遅れて申し訳ございませんでした」
◇
待てど暮らせど料理が運ばれて来ません。
お客様:俺の料理……忘れられちゃってるのかな?俺より後に来た客の料理出してるしなぁ……「すみませーん」
バイトA:「はい、ご注文ですか?」
お客様:「注文したランチがまだ来ないんだけど、忘れちゃってないか確認してもらえる?」
バイトA:「かしこまりました」
ところが、確認してくると言ってキッチンに戻った彼女は、別の仕事を初めてしまいこちらに来る様子がありません。
お客様:なんだよ……忙しいのはわかるけど、ちょっと酷いんじゃないのかな……「すみませーん」
バイトB:「はい、ご注文ですか?」
お客様:「さっき君に注文したランチまだ来ないんだけどどうなってるの?後から来た人にどんどん料理出してるじゃん?」
バイトB:「はい、すみません、確認してまいります」
お客様:「さっきもあの子に頼んだんだけど、忘れちゃってるのか返事がないんだよ」
バイトB:「申し訳ございません すぐに確認してきます」
お客様:忙しいのはわかるけど……
バイトB:「申し訳ございません こちらのミスで注文がキッチンに通ってませんでした 本当にすみません すぐに作ってお持ちします」
お客様:「あぁそう……わかったから早く持ってきて」
バイトB:「申し訳ございません」
◇
バイトB:「お待たせしました ミックスフライ定食です」
お客様:「これ注文したのと違うんだけど、大丈夫?他のテーブルのじゃないの?」
バイトB:「申し訳ございません 確認してきます」
お客様:もう30分近く待ってるのに水しかないとか……もう、早くしてくれよ……
バイトB:「お待たせしました ハンバーグランチです」
お客様:「もう何分待たせるんだよ……あぁいいよいいよ ありがとう」
◇
ようやくランチにありつけたお客様。けれど……
お客様:なんだよこのハンバーグ……焦げてるし、髪の毛が入ってるじゃん!もー頭にきた!「すみませーん」
バイトA:「お待たせしました」
お客様:「このハンバーグに髪の毛入っていたんだけど……ちょっと店長呼んでくれる?」
◇◇◇
おおよそお客様が怒るまでにはこういう過程が考えられる。
最初から怒るお客様なんていなくって、最初は不満に思いながら我慢するもの。ただ、その不満がだんだんクレームの壺に溜まっていくのだ。そしてあるキッカケ(この例だと異物混入)によって、表面張力ギリギリで頑張ってた不満が一気に溢れだすことになる
サポートするってちょっとした勇気ですよね。僕もそう。書き手はその勇気に対して責任も感じるし、もっと頑張ろうと思うもの。「えいや!」とサポートしてくれた方の記憶に残れたらとても嬉しいです。