京都深掘りさんぽ グレゴリ青山 小学館文庫
著者の「グレゴリ青山」という名前と絵柄は、うっすら覚えていた。「ブンブン堂のグレちゃん」という古本屋を舞台にした漫画。「本の雑誌」だと思っていたら、「彷書月刊」の連載だったのか! 笑に「グレゴリ」というペンネームから、男性だと思い込んでいたが、女性だった。
先月、丸善日本橋本店で、文庫新刊チェックをしていた時に出会ったのが、グレゴリ青山『京都深掘りさんぽ』(小学館文庫)。普段、コミックコーナーや旅行案内の棚はチェックしないので、そういう売場だけに置かれていたら、出会えなかった一冊。
平台の上で大きな「京都」という文字がまずアピールしてきて、その横に書かれた「深掘り」という言葉に反応した。
京都へ行くといっても、芝居がらみで行くことがほとんどだ。限られた時間の中で、しかも気ままにふらっと京都を歩きたい。となると、観光名所をあちこち訪れるより、どこか一点に絞って、神社仏閣や美術館で美術工芸品を見たり、街歩きしたい。
目次を開くと、なんかこの本、良さそうだな、と感じた。
いずれ行ってみたいと思っていたところ、東寺の弘法市、伏見、山科、がある。
読み始めると、弘法市の日にしか食べられないもの、銘菓・松風の端っこ入りの徳用袋とか「いいな、それ」が次々に出てくる。
修学旅行で行った記憶はあるけれど…という二条城には、たくさんの職人の仕事が詰まっているとか、名前は知っていたけれど、という「みやこめっせ」の中に「入場無料の職人世界」がある、などなど。
かつて西陣織が盛んだった頃の繁華街、千本中立売。ここも地名は時々目にしていたけれど、水上勉『五番町夕霧楼』の舞台になった街で、今も当時の面影が残っているという。しかも、最近では古本屋さんや町家ギャラリーが増えていると聞いては、いってみたくなる。
ベラルーシ出身のアナスタシアさんが案内してくれた大豊神社、文庫本版おまけの「旧五条楽園周辺ガイド」も行ってみたいところがたくさん。
大手を振って、京都に芝居を見に行ける日が来たら、この本をお供に「深掘りさんぽ」したい。