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みつ
2021年9月2日 21:39
目が覚めると、眼前の世界は明らかに今までのそれとは異なっているように感じられた。僕の肌を覆った鬱陶しい湿気をたっぷりと含んだあの空気も、あれほどまでに必死に僕を外とつなぎとめようとしていたセミの煩わしい喧騒もない。空気は明らかに清潔であり、小さな虫たちによって震えてもいなかった。ベットの脇に置いてある時計に目を向ける。針は10時ごろを指す。正確な時刻は必要ではないし、そもそも
2021年8月31日 22:35
いつからだろうか、風鈴の音が室内に入らなくなってしまったのは。 いつからだろうか、打ち上げ花火に気がつかなくなってしまったのは。 いつからだろうか、蝉が啼くの声が耳に入らなくなってしまったのは。 それもこれも全てこの酷暑による気だるさからだろうか。それとも私から来るものによってなのか。 私は田舎にいた頃縁側に寝転びながら、セミの大合唱の中をかき分け風鈴の音に耳を傾け、花火が上がる