そのビジネスはどのフェーズ?~AI業界編~
何事も、新しい視点で見ると解決策が見えてくることがあります。
そこで今回は、ガートナーのハイプサイクルというツールを使ってビジネスを俯瞰して考える方法をご紹介します。
ハイプサイクルってなに?
ハイプサイクルとは、新しい技術が市場に登場してから成熟するまでの過程を描いた時系列モデルのこと。
専門家による調査分析レポート提供や会員制コミュニティ、コンサルティングなどを手掛けるアメリカのガートナー社が考案したものです。
このサイクルは、以下の5つのフェーズで構成されています。
たとえば、このハイプサイクルをAIの歴史に当てはめるとどうなるでしょうか?
ざっとカンタンに当てはめてみます。
ハイプサイクルに見るAIの歴史
黎明期: 1950年代の初期AI研究
AIの歴史は1950年代に遡ります。
この時代、コンピューター科学のパイオニアたちは、機械が人間のような知能を持つ可能性について研究を開始しました。
この時期のAIは概念的で、具体的な応用は限られていました。
過度な期待のピーク期: 1980年代の「AI冬の時代」前のブーム
1980年代初頭、AI研究は大きな進展を遂げ、多くの人々がAIの将来に大きな期待を寄せました。
この時期、AIは教育、医療、軍事など様々な分野での応用が試みられました。
幻滅期: 1990年代初頭の「AI冬の時代」
しかし、初期のAI技術は期待されたほどの成果を上げられず、多くのプロジェクトが挫折。
この時期は「AI冬の時代」と呼ばれ、研究資金の減少や一般の関心の低下が見られました。
啓発期: 2010年代のディープラーニングの進展 現在?
2010年代に入ると、ディープラーニングと呼ばれる新しい手法がAI分野に革命をもたらしました。
この進展はAIを再び注目の的にし、画像認識、自然言語処理、自動運転など多くの分野での応用が進んでいます。
生産性の安定期: 現在?未来?
AIは多くの産業で実用化され、ビジネスや日常生活に不可欠な技術となっている段階。
医療診断、金融分析、顧客サービス、スマートフォンアプリなど、多くの分野でAIが当たり前のように活用されている段階です。
今は啓発期か?安定期か?それとも過度なピーク期か?
こう書いてみると、幻滅期まではほとんどの人に納得できる内容かと思います。
でも、啓発期や安定期としてはどうでしょうか?
あるいは、2023年のChatGPTの盛り上がりからすると、現在はむしろ過度なピーク期なのかもしれません。
ここまででわかるように、実際、このハイプサイクルにはエビデンスや指標の問題があります。
「なにをもってフェーズを決めるのか?」という点が、あいまいなのです。
(実際のガートナーのハイプサイクルのレポートを見ると書いてあるのかもしれませんが、各分野で統一した指標があればそれがどこかに明記されているはず・・・。)
それでもこのハイプサイクルは、AIの業界にひとつのことを教えてくれています。
それは、もしこのハイプサイクルが正しかった場合、世間に1980年代初頭ほどの期待はないということ。
そしてそれは、繰り返されてきた歴史で正常であるということ。
つまり、「昔ほど期待されていないからダメだ」ということではなく、「期待は昔ほどはないが、持続的な成長段階に入った」と切り替えて考えるべきだということです。
あるいは、ChatGPTを筆頭とする生成AIの盛り上がりが過度なピーク期だとしても、この後にはいったん一般大衆の関心が薄れるタイミングが来る、ということです。
期待の裏にあるもの
では、この「期待度」はなにを意味するのでしょうか?
ひとつは、AIへの投資額の減少。
期待度が低ければ、それに投資する人、額が減るというわけです。
もうひとつは、注目度が薄れることによるサービス提供時の期待度の差。
一般大衆が「AI」という言葉に新鮮味がなくなり昔ほど期待をいだくことがなくなれば、サービス提供側の販売予想を低く見積すぎたり、逆に結果として下回る可能性も出てくるということです。
ほかにもこの期待の意味することはありますが、こうやってハイプサイクルに当てはめてビジネスを考えることで、時系列で俯瞰して未来を考えることができるようになります。
「いまは過度なピーク期の可能性があるから、いつ関心が薄れるかわからない。もう少し慎重に行こう」と考えたり、「いまは幻滅期だから注目されてないが、ここでうちの会社が投資を進めれば、いずれ啓発期になったときにリードできるだろう」など、ビジネスモデルを修正したりブラッシュアップしていくことができるようになります。
わたしたちの提供しているIoTサービスは、おそらく「啓発期」。
幻滅期を乗り越え、技術の実用的な応用が進んでいる状況です。
具体的なビジネスモデルをしっかりと構築する必要があるので、わたしたち自身、学びながら、お客様からのフィードバックをもらいながら、改善しながら、つくりあげていきます。
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