なぜコロナでモノの値段が上がるのか!?~海上物流のお話~
こんにちは、松下です。
今回のテーマは「物流」です。大きく分けて陸上と海上がありますが、皆さんあまり馴染みがないであろう海上物流についてお話します。
「風が吹けば桶屋が儲かる」
皆様ご存知かと思いますが、「何かが起きると巡り巡って思いがけないところにも影響が出る」という意味のことわざです。
①風が吹く
②埃が目に入る
③目に不調を訴える人が増加
④当時、視覚障がい者の商売道具としてよく用いられた三味線の需要が増加
⑤三味線の材料の猫を大量捕獲・減少
⑥ネズミが増加
⑦ネズミが桶をかじって穴をあける
⑧桶屋が儲かる
論理的と言えばそうですが、こんなに簡単に「桶屋が儲かる」のかについては疑問が残ります笑
しかし、実は海上物流でも同じようなことが起きているんですよ。
「コロナ影響 世界の物流担うコンテナ船運賃高騰 物価上昇も懸念」
少し前のNHKニュースの報道です。
タイトルだけでは理解しづらいかもしれませんので、順を追ってご説明します。
要約すると、
①パンデミックにより生活様式が変化(在宅時間の増加)
②家での生活を快適にしようと生活便利グッズなどの需要が一時的に増加
③世界の工場であるアジア(特に中国)から欧米への物流量が増加
④米国(特に西海岸)で、ドライバー不足により、コンテナ船が港に滞留・入港待ち状態に
⑤コンテナの回転率が著しく低下し、アジアを中心に輸送価格が大幅に増加⑥コンテナを用いて輸入している多くの商品価格が上昇
⑦物価上昇の懸念が発生
タイトルには「コロナ影響」と書かれているだけですが、実際にはこのようなことが起こっているのです。
「風が吹けば」ほど小さな出来事ではありませんが、コロナが思わぬところに波及しているということです。
ちなみに海上物流に用いる船には、日本国内のみの貨物輸送に使用する内航船と外国の港にも寄港する外航船があります。
国内貨物の約40%・国外貨物の約99%は船舶輸送されており、海運は日本物流の大動脈となっています。(※1・2)
また、日本の食料自給率は2020年を基準とすると、カロリーベースで約38%。(※3)
不足分は輸入に頼る必要があるため、多くの食料を海外から輸入していることがわかります。
物流コストが高騰する中で、エネルギー価格も上昇、さらに円安のトリプルパンチ。これが日本の現状です。
厳しいですね~。
先ほどコンテナ輸送価格上昇の話をしましたので、世界の海運価格の代表的な指標であるバルチック海運指数(BDI)と中国コンテナ指数(CCFI)についても紹介したいと思います。
BDIはロンドンのバルチック海運取引所が発表している外航船運賃の指数です。
これは複数の船舶会社から聞き取りをして発表しており、主に鉄鉱石、石炭、穀物などを運ぶバラ積船運賃の総合指数です。
※バラ積み船・・・包装されていない貨物を輸送するために設計された貨物船
指数は1985年の運賃を1000として、現在の運賃を表します。
今までで最も高くなったのは2008年前後の11,000。(※4)
これは1985年の11倍です。今年の春先には3000前後とかなり高騰していましたが、直近の11/15付けでは1,300。やっと落ち着いてきました。
CCFIについては少しだけ。
これは世界の工場である中国の上海航運交易所が公表しているもので、上海発のコンテナ運賃の指標となっています。
面白いところは、ほぼ毎年9月頃にピークを迎え、その後10-12月に下がるのです。
何故?クリスマスですよ、クリスマス。
世界中でクリスチャンも仏教徒もヒンズーもイスラムもみんなみんな、クリスマス前後にプレゼントを買うのでしょうね。笑
ということで、今回は海上物流のお話でした。
面白かった、勉強になったという方はぜひ「スキ」を押していただけると嬉しいです!
※1 出典:外航海運の現状と課題(国土交通省)
※2 出典:内航海運を取り巻く現状及び これまでの取組み(国土交通省 開示曲)
※3 出典:日本の食料自給率(農林水産省)
※4 出典:海運バブル大崩壊! 投機マネー急減で未曾有の市況下落(東洋経済オンライン)