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甘野書店

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noteの本屋さんです! 小説、詩、絵、音楽、動画を販売してます! あなたは本を買いますか?  あなたは本を売りますか? ルールは以下です。 ・自作の小説・詩・絵・音楽・動画の…
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#恋愛小説

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 こんにちは、甘野充です。  noteで小説を書いてる人はたくさんいると思います。  noteで小説を販売していますか?  売れていますか?  noteで小説を売るのはなかなかに難しいのではないかと思います。  小説を売るには、KindleでKindle本を作って売る、本を作って文学フリマで売る、ボックスで貸し出しているシェア型書店で販売する、などが現実的ですよね。  Kindleは電子書籍であれば気軽に読まれるし、文学フリマはネットで知り合った人などと交流して買ってもら

【読切小説】君の微笑みは、春風に乗って【8667文字】

冬の風が頬を刺すように冷たい。 空はどんよりと曇っていて、学食の窓にも露がついている。 外の景色はぼやけ、灰色の世界に沈んでいた。 だが、俺は浮足立っていた。 恋人である紗希に、早く結果を伝えたかったからだ。 紗希は学食の片隅で、湯気の立つ紙コップをそっと握りしめていた。 「紗希」 声をかけると、ふわっと視線をこちらに泳がせ、彼女は微笑んだ。 「悠斗。どうだった?」 今日は公務員試験の合格発表の日だった。 「受かった!受かったよ!」 持っていた合格発表の封筒を紗希に見せよう

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【掌編小説】マーキングゲーム

「お前、男のコロンの香りがするな」 男はそう言ってうなじに鼻を寄せた。 「私を抱いた男の香りをつけてるの」 男は少し眉根を寄せたが、すぐに微笑んだ。 「その男は、いくらでお前を買ったんだ」 「6万円だったかしら。もちろんコロンもプレゼントしてもらったわ」

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【掌編小説】夜の波間に君を呼ぶ

「ねぇ、起きてる?」 深夜2時の電話に出た彼女は無言だった。 でも、ボクはそれでもいいと思った。 なぜなら、今日ボクは彼女の夢に登場する。 夢に登場して、虹色の絵の具で世界を塗りたくってやるんだ。

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【読切小説】 わたがし 【13287文字】

扉が、ゆっくりと軋んだ音を立てた。 廃校となった校舎の玄関を押し開けると、ひんやりとした空気が私の頬を撫でた。 床に差し込む午後の光は、かつての賑わいを知る者に語りかけるように、長い影を引いている。 ――最後にここに来たのは何年前だろう。 すっかり忘れていたはずの記憶が、埃の匂いと共に胸の奥からふわりと蘇る。 かつての友と過ごした教室、廊下、音楽室――。 全てがまだ鮮やかにこの胸に蘇る。 匂いですらも、まるで今嗅いだかのようにしっかりと思い出せる。 廃校の案内が来た時、私

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【短編小説】旅立ち

彼氏の家に行ったら 真っ最中だった。 私は仕事もそれなりにやってきたし、彼氏のことだってそれなりに大事にしてきた。 それなのに、こういうことってよくないよね。 私は思い切り扉を閉め、今までのことをなくしようと思った。

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【読切小説】寄り添う春、めぐる頁【22623文字】

新幹線が小気味よい音を立てて停車する。 窓の外には、まだ眠りから覚めきらない街並みが広がっている。 灰色のビルの合間から、わずかに覗く朝焼けの色は、どこか儚げで切ない。 車内のアナウンスが流れ、少なかった乗客たちが眠い目をこ擦りながら降車の準備を始める。 座席に残る温もりが、ここでの長い旅の名残を伝えていた。 「着いたか……」 読みかけていた文庫本にゆっくり栞を挟むと、それをジャケットの内側へと仕舞った。 九州へ来るのは実は初めてだ。 東京に住む俺からすると、この地はどこか

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 「栞が必要なんだよ」、という僕の言葉に彼女は顔を赤らめた。  彼女の名前が栞であるということを、僕はすっかり忘れていた。

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【短編小説】コーヒーの揺れる時間に(8100文字)

カラン。 思ったよりも高く、澄んだ音が店内を満たした。 最近懇意にし始めたカフェなのだが、どうも今日は客が少ない。 今日は店内が静かだ。 たまたま今日が木曜日だから客足が遠のいているだけなのか、はたまた雨がそうさせているのか。 カフェは少しざわめいているくらいが好きだ。 普段は話し声のこだまが心地よく、薄っすらと聞こえるジャズが夕暮れのこのひとときを彩る。 今日は一人だな―― カウンター越しに見えるマスターの姿も、今日はこころなしか小さく見える。 「ホットをひとつ」 いつ

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ロマンスの神様

「君は神を信じる?」  と僕は彼女に訊ねた。 「信じない。だってそんなものいないから」  と彼女は答えた。

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【短編小説】夢見

やってしまった。 しくじった。 私は今日、失恋した。 付き合って一年目の彼と、愛もない喧嘩だったのだが、つい捨て台詞で 「もう知らないっ!別れよう!」 と言ったところ、 「おう、俺もそろそろ別れたいと思っていたんだ!ちょうどいい、もう別れよう」 という顛末である。

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バレンタインデーキス

「よう!元気か?」 窓を開けた瞬間、隣の家のベランダから聞き慣れた声が飛んできた。 侑真だ。隣に住む幼なじみで、昔からずっと一緒にいる。

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おすすめガール

「ねえ、あなたはどんな女の子が好みなの? 私は女友達がいっぱいいるから、どんな女の子でもあなたにおすすめできるけど」  と彼女は僕に言った。

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【長編小説】「水槽の魚」

*  七時になろうとしているのに、今朝はまだ薄暗く、青い。庭を見ると、まるで水の中のように静かだ。しんしんと雪が降っている。  そろそろ娘を起こさないとならない。なのに、青い景色が愛梨を神妙な気持ちにさせる。体が思うように動かせない。  いまだ忘れられない思い出を揺り起こした。  こんなだからわたしはダメなのだ。家庭ひとつ守れない。自分を責める。  一度目の結婚も失敗した。あれは若気の至りだと言ってしまえば片付けられるが、今回は子供もいるのだ。  夫は車のダッシュボー

¥500