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創作の森 エンターテイナー・ストリート

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甘野充プロデュースの創作に特化した共同運営マガジンです。 共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。 自作の小説、詩、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンタ…
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2024年6月の記事一覧

男と自販機

俺は自販機を何回も叩いた。特段強い力を入れた訳でもない。だから犯罪には当たらないと思う。 なぜ叩いたかと言うとWONDAのモーニングショットが出てこないからだ。まだ比較的新しそうな500円硬貨を投入口に入れ込み、日課のモーニングショットをここで飲んで行こうとしたが出てこなかった。それどころか500円硬貨も返ってはこない。 叩いても今どきの販売機が動くはずもないしビクともしない。殴るには硬すぎたので叩いてせめてお金だけは返してもらおうと思ったのだ。 仕方なく俺はタバコをふ

【第一部・最終回】流れぬ彗星(12)「波の下」【歴史小説】

この小説について  この小説は、畠山次郎、という一人の若者の運命を描いています。  彼は時の最高権力者、武家管領の嫡男です。  しかし、目の前でその父親が割腹自殺する、という場面から、この小説は始まっています。  彼はその後、師匠の剣豪や、愛する女性、そして終生の宿敵である怪僧・赤沢宗益と巡り合い、絶望的な戦いを続けてゆきます。  敗れても、何度敗れても立ち上がり続けます。  全ては、野心家の魔人・細川政元により不当に貶められた主君・足利義材を救うため。  そして自分自身

【歴史小説】流れぬ彗星(11)「林堂山樹」

この小説について  この小説は、畠山次郎、という一人の若者の運命を描いています。  彼は時の最高権力者、武家管領の嫡男です。  しかし、目の前でその父親が割腹自殺する、という場面から、この小説は始まっています。  彼はその後、師匠の剣豪や、愛する女性、そして終生の宿敵である怪僧・赤沢宗益と巡り合い、絶望的な戦いを続けてゆきます。  敗れても、何度敗れても立ち上がり続けます。  全ては、野心家の魔人・細川政元により不当に貶められた主君・足利義材を救うため。  そして自分自身

【歴史小説】流れぬ彗星(10)「河内屋形」

この小説について  この小説は、畠山次郎、という一人の若者の運命を描いています。  彼は時の最高権力者、武家管領の嫡男です。  しかし、目の前でその父親が割腹自殺する、という場面から、この小説は始まっています。  彼はその後、師匠の剣豪や、愛する女性、そして終生の宿敵である怪僧・赤沢宗益と巡り合い、絶望的な戦いを続けてゆきます。  敗れても、何度敗れても立ち上がり続けます。  全ては、野心家の魔人・細川政元により不当に貶められた主君・足利義材を救うため。  そして自分自身

そらの色

ラムネの音 瓶の蓋をポンと押す 小気味いいビー玉が落ちて行く シュワシュワのラムネが喉を潤す 瓶を空にかざしてみると 涼しげな空の色 暑い日に涼風が吹いてゆく 身も心も晴れ晴れする 懐かしい幼い日を思い出す 今はもう誰もいない 海辺の祖父の家

涙空

声が聴きたくて 飛びだした街  嘲笑うように 降りだした雨  足を早めても 行くあてもなく  帰る場所さえも いまは遠くて  涙 忘れた 私の代わりに泣いてるの?  どこまで行けば いつか ぬくもりに逢えるの?  どこにも行けず ただ立ちつくす  どれだけ待てば いつか 想いは届くの?  どれだけ待てば 願いは叶うの?   笑顔ふれたくて 駆けだすけれど  嘲笑うように 降りしきる雨  いつもの景色が なにもかも滲んで見えるよ  どこまで行けば いつか ぬくもり

傾斜した無限のその人間的限界性によって切り取らた(ざるを得なかった)部分を永遠と呼ぶ

芸術論

【いちばんの無駄は本業にあり】 「いちばんの無駄は、本当は、本業のなかにある」と言われますが、学校の生徒であれば、勉強そのもののなかに無駄があるということです。 これは仕事においても同じで、本業のなかにこそ、けっこう無駄があるものです。 大川隆法 仕事の中の無駄を点検しよう!

今週の振り返りnote☆6月24日~30日

いつも私の記事に目をとめてくださり、本当にありがとうございます! 私の記事では、大川隆法先生の著書の中から、おすすめの作品を紹介しています。 今日は、1週間のうちに更新した記事・マガジンを一気にご紹介する、振り返りnoteの日です♪ 見逃した記事のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね! 【リーダーに贈る「必勝の戦略」解説】 大川隆法著「リーダーに贈る『必勝の戦略』」解説記事をまとめていきます。 仕事や人間関係など、あらゆる場面での高度なリーダーシップが必要とされ

【コラム】ヴァイオレット・エヴァーガーデン#1

 何をいまさらと言わないでちょうだい^^;  確かにもう6年くらい前のアニメ作品ではあるけれども。  今まで何度も何度も記事にしたいと思いつつ、あまりにも思い入れが深すぎて何から書こうかというところで既に躓いて「何からも何も何もかもだよ」という心の声に恐れをなし、まったく手を付けられなかった、私の現在までの人生で経験した最高のエンターテイメント作品である「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。  自分であまりにも書けないので、故・PANTAさんの記事を引用したりしている。こ

1番目アタール、アタール・プリジオス(18)信愛

 * 静かな夜だった。 暗躍する闇の獣を冬の三日月が支配の鎖に繫ぎ、その冷たい光の鞭で、猛る咆哮を鎮めているかのようだ。 「アーリェ…!」 階段を一段づつ、ふらつきながら降りてくる虚ろな顔の少年が目に入るなり、彼は声をあげた。 声のほうに、徐ろに視線を向けた少年は、うっすらと微笑んで、そのまま階下の床に降りた。 「…ごめんね、さっきは。驚かせて」 かすれた声を発した途端、少年はくらっと目眩を覚え、手摺りの端にバッと掴まる。 「わ、わわ! アーリェ!」 「はは

振り返りnote㉙🌸6月スペシャル版🌸

いつも記事をご覧くださり、ありがとうございます! 本日は久しぶりに、振り返りnoteの日✨ 日々のお知らせや、今週公開した記事の入った主なマガジンと、記事をご紹介していきます。 毎日チェックするのが難しい、という方も、この機会にまとめてチェックできますので、覗いてみてくださいね☆ 今月は共作小説【白い春~君に贈る歌~】連載の関係で、振り返りnoteを月末スペシャル版で一気にお届けします! 三鶴✖️仲川光🌸共作小説 「白い春~君に贈る歌~」 ✨ 連載期間5月末~7月末

創作:普通日記(散文現代詩)

量子論でできたぶよぶよのコンピュータから、ふわふわな音楽が流れます。やっとこさ、やっとこさ、やっとこさっとこ、やっとこさ、という風にきこえますが、実際にはそのようには鳴っていないかもしれません。関東平野の中央部に海があります。どこの海洋とも接していない海というものが、あるのでした。湖は海なのです。みんな裸足になって、くるぶしを冷やしながら、そのふわふわな音楽を浴びています。ふわふわふわです。ふわふわなふわがふわふわとふわします。ふわふわです。ふわふわふわです。ミキサーによく似

【歴史小説】天昇る火柱(1)「仏敵」

この小説について  この小説の主人公は、赤沢新兵衛長経という男です。  彼は、信州の小城に庶子として生まれ、田舎武士として平凡な一生を送るはずでした。  しかし彼には、二十歳近くも年の離れた兄がいました。  兄は早くに出家して家督を放り出すと、諸国を放浪し、唐船に乗って明国にまで渡ってゆきました。  そして細川京兆家の内衆となり、やがて畿内のほとんどを征服することになります。  神も仏も恐れぬ破壊者、赤沢沢蔵軒宗益。  その前に立ちふさがるのは、魔王・細川政元への復讐に全