再読、中井久夫「世に棲む患者」「精神科医がものを書くとき」
中井久夫を再読した。彼の著作を初めて読んだのは大学生の時だったと記憶している。統合失調症への言及が多く、彼らの治療というよりは社会生活の方に比重を置いた考えを持っていることに印象を覚えた。
今回再読したのは「世に棲む患者」と「精神科医がものを書くとき」の2冊だ。中井は「社会復帰には二つの面」があり、一つは「職業の座を獲得することがあるが」より重要なのは「世に棲む棲み方、根の生やし方の獲得」であるかという。この「世に棲む」という感性が中井における治療論や患者論の中核的なものであ