三津凛

読書会を主催しています。月一回課題本型の読書会、精神科医中井久夫の著作集11巻を読破する「中井久夫ゆる読会」、2024.2〜「ケアに関するあれこれ……」をテーマに読書会&勉強会を始める予定です。読書会X(Twitter):@dokushokai_12

三津凛

読書会を主催しています。月一回課題本型の読書会、精神科医中井久夫の著作集11巻を読破する「中井久夫ゆる読会」、2024.2〜「ケアに関するあれこれ……」をテーマに読書会&勉強会を始める予定です。読書会X(Twitter):@dokushokai_12

マガジン

  • artes liberales(アルテス・リベラレス)

    こちらは読書会@artes liberales(アルテス・リベラレス)の課題図書の資料&記録のためのマガジンです。 読書会@artes liberales(アルテス・リベラレス)では、Zoomを利用したオンライン読書会を計画しています。 参加者を募集しています。参加希望の方はTwitterアカウントのフォローをお願いします。 Twitter:@dokushokai_12

  • 「人文サロン プレリュード」

    特定の分野の書籍や知見から、一つのテーマについて語り合うサロン「プレリュード」のための私的なレジュメです。書き散らし注意。 毎回テーマは違います。主に人文書や学術書を参考図書として扱います。 参加希望の方はTwitter:@dokushokai_12まで!

  • Reading・Paranoia

    読んだ本の簡単な感想と紹介。一記事あたり約2,000字程度を目標に。小説よりも学術書が多めになるだろう。人文科学系を中心に書いていくつもり。一番好きな出版社は、ちくま学芸文庫。

  • 散文集:「虚(うつろ)」

    人は満たされない器、虚ろな器をどこかに持っていると思う。それらをテーマにした散文集。

  • Vol.2 自選アンソロジー「疎外」

最近の記事

「対話的関わり」あるいは、buffer

はじめに 私は障害福祉の領域で働いている。福祉にも色々と領域があって、児童福祉、高齢者福祉と年齢によって分けられる。さらに福祉的支援にも発達支援から就労支援、相談援助、移動支援、身体介護などその人がどんなサービスや支援を必要とするかでも細分化される。福祉職というのは、子育てや介護が家族という単位の中で賄うことが難しくなってくる中で、生まれた職業、専門職の一つであるだろうと私は考えている。子育ての社会化/介護の社会化という言葉が使われて久しいが、社会化とはそのままこうした対人支

    • 読書会artes liberales(アルテス・リベラレス)参加にあたって

      はじめに 読書会artes liberales(アルテス・リベラレス)、は本や読書を通して「人が繋がる」ことを目指す読書会(以下、当会)です。 気軽に、楽しく、対話することをモットーにしています。 課題本の提示はありますが、読了は参加の絶対条件にしていません。また、課題本に映像作品等がある場合はそちらを視聴しての参加でも歓迎しています。 新型コロナウイルスによって、人と人との繋がりが強制的に遮断されたことを契機として、当会は始まりました。世界は再び日常を取り戻しつつありますが

      • 第23回読書会 「心理的安全性のつくり方」石井遼介

        第23回読書会で、石井遼介著「心理的安全性のつくり方」を取り上げました。心理的安全性はここ最近ビジネスの現場において頻出の用語であり、主に組織マネジメントにおいて使われることの多いものです。 成果を上げ続ける組織とは、どのような特徴があるのか? Googleの社内調査チームが社内外の組織を調査したところ、成果を上げ続ける組織には共通点があることがわかりました。それこそが、「心理的安全性」が高いというものでした。 この言葉を定義したエドモンドソンは、「チームの他のメンバーが

        • 第17回読書会「100分de名著 中井久夫スペシャル」

          先日、「100分de名著 中井久夫スペシャル」を課題本とする読書会を行いました。 精神科医である中井久夫の著作は精神医学に関する専門的な論文だけではなく、エッセイ色の強いものなど多様にあり、膨大な著作を読み切るのには長い時間のかかりそうなものです。中井の著作を集めたものにみすず書房の「中井久夫集」がありますが、「100分de名著 中井久夫スペシャル」では中井の主要な論文などを収録しており、本書を読めば中井の臨床観、疾病観などの大枠を知ることができます。 日本の精神医療の黎明

        マガジン

        • artes liberales(アルテス・リベラレス)
          25本
        • 「人文サロン プレリュード」
          11本
        • Reading・Paranoia
          57本
        • 散文集:「虚(うつろ)」
          5本
        • Vol.2 自選アンソロジー「疎外」
          8本
          ¥500
        • suicide forest:自殺についての試論
          5本
          ¥500

        記事

          読書会「artes liberales(アルテス・リベラレス)」について

          当会について:月1回(月末)に課題本1冊について語り合う読書会です。 読破は参加の絶対条件ではありませんので、未読でも参加大丈夫です。また課題本に漫画版や映像版がある場合はそちらを鑑賞でも参加OKです。 課題本について:学術書や人文科学系の書籍を主に扱いますが、過去に小説を取り扱ったこともあります。(『キャロル』パトリシア・ハイスミス) 時宜や世相を反映した書籍を選書するのをモットーにしています。 哲学、宗教、自然科学、人文科学など幅広い分野の書籍を取り扱う予定です。 実

          読書会「artes liberales(アルテス・リベラレス)」について

          「中井久夫ゆる読会」について

          みすず書房より刊行中の「中井久夫集」全11巻の読破を目指す読書会です。 月2回、19:30〜22:30で開催しております。現在参加メンバーは主催者含め3人から4人です。途中参加でも大歓迎です。 ツイートで告知の箇所から順番に任意の箇所まで読み、それぞれ感想や意見などを出し合いながら精読していきます(特に感想のない場合はそのまま続きを読んでいきます)。 実施形態:Zoomでのオンライン開催です。プライバシーの観点からカメラオフで行っております。 タイムテーブル:19:30

          「中井久夫ゆる読会」について

          「聞く技術 聞いてもらう技術」東畑開人

          先日、2022年最後の読書会を終えました。課題本は東畑開人著「聞く技術 聞いてもらう技術」。 未だコロナウイルスによる人と人との距離感は、それ以前のようには戻っていません。そして今後も、かつての日常が戻ってくるのかは見通せません。人と人との関係性が大きく変わる中で、改めて「聞く技術 聞いてもらう技術」を手に取り、また読み合うことで新たな「繋がり」というものが生まれてくるのではないかと思い、選書しました。 前回の課題本が孤独に関するものだったということもあり、今回は繋がることの

          「聞く技術 聞いてもらう技術」東畑開人

          「孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか」ジョン・T・カシオポ/ウィリアム・パトリック

          第15回の読書会は、「孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか」ジョン・T・カシオポ/ウィリアム・パトリックを取り上げました。 本書はヒトの進化の側面からなぜ孤独を感じるようになったのかに迫りながら、孤独と人間の社会的側面へと目を向けています。典型的なのは、人間において他者は向けられる利他的行為でこのような行為は他の生物ではあまり見られません。これは人が集団として生き延びて行く上で進化する過程で得たものであり、表裏として存在をするのが孤独感です。特に集団内で感じる孤独というものは、

          「孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか」ジョン・T・カシオポ/ウィリアム・パトリック

          「現代思想 加害者を考える 2022.7vol.50-9より」

          10月の読書会では、「現代思想 加害者を考える 2022.7vol.50-9」を取り上げました。 加害者臨床、修復的司法という重いテーマではありましたが、本会最多の参加者で開催することができ、この分野への関心の高さが伺えました。 主な感想としては、加害がどうなることが被害者にとって「救われる」ということなのか。一方で、加害者臨床という形で加害者はスポットが当たれば当たるほど、被害者にとっては辛いことであり、そもそも「被害者が救われる」というのとは究極的にはないのかもしれない、

          「現代思想 加害者を考える 2022.7vol.50-9より」

          素人性を持つということ

          社会の近代化の指標の一つには、家庭内で行われていた諸々の行為がサービス化され、専門化されていることが挙げられる。代表的なのは、子育て、教育、介護であろうと思う。この三者は保育、学校教育、社会福祉の領域でそれぞれ専門家が担い、サービス化されている。 とはいえ、元は家庭内で行われていたものであり、その主たる担い手は女性であった。主たる担い手が女性であることの文脈は他に譲るとして、これらを担う人々に向けられる眼差しについて今回は考えてみたい。 ひと昔前までは教員は「聖職者」と呼ば

          素人性を持つということ

          無意識の叫び〜フロイト「日常生活の精神病理」

          昨日、第13回の読書会を終えることができました。課題本はフロイト著の「日常生活の精神病理」。岩波文庫からの新訳で、フロイトには学生時代から著作をいくつか読んできただけあって親しみがあり、岩波からの出版ということもあり課題本に選びました。 本作は、言い間違いや度忘れなど日常生活における些細な、主として言語行動についての精神分析であり、そこにはフロイト理論の中核的存在ともいえる「抑圧」が影響しているとフロイトは指摘しています。 「……抑圧が動機となって引き起こされる度忘れもある」

          無意識の叫び〜フロイト「日常生活の精神病理」

          「現代人の憂鬱」デュルケーム・「自殺論」

          先日、エミール・デュルケーム「自殺論」を取り上げた。 デュルケームの「自殺論」における特徴は大きく2つある。一つは、個人の内部にある病理性によって自殺は起こる、との論調から、自殺とは社会的現象であるとの論調への転換。もう一つは社会学的研究手法を取り、自殺という現象を考察した点にある。この2つはどちらも画期的なものであり、「自殺論」は社会学の古典でありながらも近代人の孤独やその病理に焦点を当てた点では非常に新しく感じるものでもある。 読書会においても、デュルケームの示した自殺の

          「現代人の憂鬱」デュルケーム・「自殺論」

          「ケア」の持つ言語不明瞭さ、曖昧さ

          「群像 8月号」より、「ケアの語られる土壌を耕す 編集者・白石正明に聞く」をhttps://gendai.media/articles/-/84942から読んだ。 非常に興味深いテキストで、医療福祉現場における「言葉のできなさの逆説」というものをよく捉えていると感じた。 「ケア」という言葉の定義を「『脆弱な状態にある他者』を身体的、精神的に世話する営み」とし、以下に白石の言が続いてゆくわけだが、医療現場における看護師と医師との語りの差異というものに焦点が当てられる。 看護師の

          「ケア」の持つ言語不明瞭さ、曖昧さ

          「啓蒙とは何か」感想 蒙を啓く、啓蒙-

          先日、第11回読書会を無事終えることができた。今回の課題本はイマヌエル・カントの「啓蒙とは何か」。 本書は個人的に思い入れの深い書籍で、学生時代のバイブルといっても良いほど大好きなもの。カントという哲学者が元々好きで、時間があるのに任せて図書館で全集を読破したのは大学時代の良い思い出のひとつ。 カントの哲学のエッセンスを自己流にまとめるならば、「自分の頭で考えること」「首尾一貫した自己を持つこと」「他者の立場に立って考えること」であると思う。 カントの哲学は難解であり、長大で

          「啓蒙とは何か」感想 蒙を啓く、啓蒙-

          元首相銃撃と、その反応について思うこと

          1週間ほど前に、大変なことが起きた。それは安倍元首相が銃撃され、死亡した事件だ。この出来事のショックさとは、死亡したのが元首相で現役の衆議院議員であることもそうだが、なによりも「銃撃」という、およそ日本では考えられない(と思われている)手法によるものが大きい。そして、銃器はどうやら手製であり銃撃事件が後を絶たないアメリカメディアですら、「こんなものをどうやって規制すれば良いというの」と報道するほどの衝撃があった。そして、さらに複雑なのはその動機である。現在のところでは政治思想

          元首相銃撃と、その反応について思うこと

          それはハッピーエンドか?パトリシア・ハイスミス「キャロル」

          過日、第10回の読書会を行った。今回は初めての小説である。パトリシア・ハイスミスの「キャロル」。何年か前に映画化された話題作の原作である。 あらすじはクリスマスイヴに主人公のテレーズがおもちゃ売り場で離婚問題を抱えたキャロルに出会うところから始まる。テレーズ自身には男性の恋人がいるが、キャロルに惹かれていく自分を止めることはできない。キャロルもまたテレーズに惹かれていき、2人は恋愛関係に陥るが、キャロルの離婚問題が関係性には常に付き纏い、暗い影を落としていく。2人は旅行に出か

          それはハッピーエンドか?パトリシア・ハイスミス「キャロル」