TOP Bakery No.5 ~パッケージ~
ガーナのパン屋の石本です。
前回の投稿では、ガーナ人がどの様にパンを購入するかを調べ、その結果売れてる他社のパッケージを真似た事で売上が伸びたことを書きました。
パッケージに関する問題
売上が伸びてきた事で大きく2つの問題が出てきました。
一つはTOP Bakeryだけでなく、他社も同じ様にセロファンを使ったラッピングに切り替え始めた為、いつも購入していた包装資材屋さんでセロファンが品切れとなる事が増え、安定的にラッピングを調達する事が困難になってきました。
もう一つは、作業量が増え、スタッフが長時間労働となり疲弊しきってきた事です。まずはセロファンを同じ幅に切り、2人一組となりパンとフライヤーを包んでから両サイドを蝶々結びにする。単純な作業も、1日に500個のパンを作る様になると時間的にも体力的にも限界を迎えました。この時は実際毎晩深夜まで眠い目をこすりながら皆んなでパンを包んでいました。(たまに包みながら寝てるスタッフも)
弱小ベーカリーには人を増やす資金的余裕もなく、どうしたものかと寝不足で働かない頭で考えていると、ふと一つのアイデアが生まれました。
「500個しか作っていないうちですらこんなに大変なんだから、大手はきっともっと困っているに違いない!よし、うちがセロファンの調達をして他社に販売しよう!」
セロファンの販売開始
そして、首都アクラでセロファンの卸会社を抑え、そこから大量のセロファンを調達することにしました。予想通り、セロファン調達難に喘いでいた他社からは毎週注文が入り、TOP Bakeryにとってもちょっとした副収入となりました。おかげで同業他社たちのセロファン調達難は解消されたものの、自分たちの作業効率の改善は思う様に行っていませんでした。パンを包みながら、
「もっと簡単に1人で包めたらいいのに、いっそ袋にハート形がプリントされてたら楽なのに、、、」
包装資材の開発・販売
なんでこんな簡単なことに気がつかなかったのだろうか、と翌日プラスチック会社に電話し、すぐにハートが印刷されたオリジナル・パッケージを作る事になりました。そして、
「このパッケージは、今までのセロファンよりも安く、作業効率も格段に良い、そして自社のロゴも入れられる。きっと他社も喜んで導入するに違いない!」
と、考え、すぐにプラスチック会社と契約を結びました。遅かれ早かれ、他社も自分たちのパッケージを真似するはずだ、ならば多少売上が下がるにしても、私たちが営業マンとなって他のパン屋達にこのハート形パッケージを販売しまくろう、と大手3社から契約を取り付けプラスチック会社に生産を依頼し、パッケージを販売しまくりました。勿論、アイデアだけ盗んでプラスチック会社に持ち込もうとする会社もありましたが、既にプラスチック会社と契約していた為、全てのパン屋への販売についてコミッションが入る仕組みとなっていました。
毎日500個しか作っていない私たちに比べ、大手は1日5,000〜10,000個のパンを作っており、飛ぶ様にパッケージが売れました。そして、毎月パンの収益以上のパッケージのコミッションが入る様になったのです。幸いにも、元々生産量の少なかった私たちのパンは、そんなに影響を受けず、引き続き他社のパンに紛れて売上をジリジリ伸ばしていく事になりました。