読書感想文3【エンジニアのためのマネジメントキャリアパス】、【ソフトウェアファースト】その1
はじめに
こんにちは。ヨシミツダです。今日はエンジニアのためのキャリパスについて書いてある本を2冊紹介します。
1冊目は「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド Camille Fournier著、武舎 広幸、武舎るみ 訳、及川卓也 まえがき」
2冊目は「ソフトウェアファースト 及川卓也著」
の2冊になります。第1弾では、「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」についての感想文を紹介します。特にエンジニアリングマネジメントのキャリアを考えている人たちに参考になる本だと思います。どちらもキャリアの話だったので、シリーズとしてまとめてみました。この読書感想文を書いているときに気が付きましたが、エンジニアのためのマネジメントキャリアパスの前書きは及川卓也さんが書いていたのですね。
メンバーシップ型雇用が多い日本でも転職活動で目にするのは当たり前ですが、ジョブディスクリプションではないでしょうか。日本型のメンバーシップ雇用ではジョブディスクリプションがあいまいなことが多いです。いざ転職するときに、要件にすべてあてはまることは少なく、戸惑う方は多いのではないでしょうか。ジョブディスクリプションと本書でも登場するキャリアラダーは密接に関係します。日本企業はもっとジョブディスクリプションとキャリアラダーをしっかりと定義し、それに基づき人員の配置や育成を行っていくべきだと及川さんは言及してます。
テックリードって何?
この本を読むきっかけはジョブディスクリプション読んでたときにでてくる「テックリード」ってなんだろうと思ったのがきっかけです。
特にスタートアップのような若い会社でみかけます。過去にCTOというロールは知っていたのですが、完全におじさん化してた私は、このままではいかんという気持ちでこの本にたどり着いたのです。
調べてみてわかったことですが、
テックリード(tech lead)とはプロジェクトに携わるエンジニアチームの「技術リーダー」のことでした。
テックリードは以下のようなことに気をつけます。
・「技術面での貢献」と「チーム全体のニーズへの対応」の「バランスの取り方」に習熟しなければならない。
・プロジェクトを推進するため、常に大局的な視点を失わないこと
・対象のシステム全体の構造の十分な把握と、複雑なソフトウェアを設計するための方法に関する理解
・ビジネス要件に対する理解と、そうした要件をソフトウェアに織り込む能力
・作業をデリバリ可能な単位に大まかに分割して管理するプロジェクトプランナーとしての役割
要するに今の自分がやってる仕事のこというんだなということが、わかりました。
自分の場合、メーカー勤務(2020年時点)なのでハードウェア系の話も理解が必要なのですが、こういった仕事を担う役割のことをテックリードというという結論に至りました。
もちろん担当するプロダクトで技術領域は変わってきます。自分なりの整理は必要ですが、テックリードの役割については、理解することができました。テックリードの心がけや仕事のやり方に関する見解もこの本では紹介されていましたが、詳細は省略します。
その他この本では、その後のキャリアパスとして技術系の経営幹部の肩書と役割が紹介されていました。なれるかどうかは別として、キャリアラダーはシーケンシャルなキャリアのイメージを持ったほうがいいと私は考えています。この経営幹部が持つ役割は、キャリアラダーを設計する上で参考になると思いました。
この技術系の経営幹部の肩書がCTO(最高技術責任者)と技術担当VP(技術担当バイスプレジデント)になります。
技術系の経営幹部の役割
この本には、テックリードの後のキャリアパスである技術系の経営幹部の役割についても記載がありました。CTOと技術担当VPの区別がつきにくいところがあったので、参考になりました。
CTOの役割
CTOの役割は非常に広義に定義されてていることが多く、理解しづらいところがあるのですが、本書ではCTOを「CTOとは、その会社が現在の成長段階で必要としている戦略的技術系幹部」としています。
あえて「戦略的」という表現を加えること表したかったCTOの重要な職務とは「長期的視点に立って考えを巡らし、事業の未来と、それを可能にする要素とを計画する作業を支援する仕事」です。
一方、「幹部」という表現を加えることによって表したかった職務は「(上記の)『戦略的な思考』の成果を実現、運用可能にする作業を支援する(そのために問題を細分化し、その対策を部下に実行させる)仕事」です。
まず何よりも、CTOは会社のためを思い、事業を理解し、技術というレンズを通して事業戦略を立てられるようでなければなりません。
CTOは、会社にとって最大の技術的な好機とリスクの在り処を把握し、それをプラスに利用することに焦点を絞らなくてはなりません。
CTOは、事業戦略上の最重要事項にフォーカスして判断と実行をするということですね。いわゆるぼんやりイメージしていた「CTOは『コンピュータおたくのボス』として純粋に技術的な問題に焦点を当てるべきだ。」という見方とは少し違うということです。「何よりも事業戦略にかかわる仕事を最優先すべし」ということを繰り返し説明しています。
技術担当バイスプレジデントの役割
この本では、技術担当バイスプレジデント(以下技術担当VP)という経営幹部のことについても説明されています。この技術担当VPの仕事とCTOの仕事の区別はつきにくく、企業によってもCTOと技術担当VPに課している職務がかなり異なります。
技術担当VPとCTOの大きな相違点として「技術担当VPは技術系管理者ランクの最上位にあたる」という点があります。つまり技術担当VPは一般に、人員、プロジェクト、チーム、部課の事情に精通したベテラン中のベテラン管理者として期待されています。CTOは「より広範な戦略」と「社内での技術部門の位置づけ」に、そして技術担当VPが「アイデアの実現」に、それぞれ焦点を絞っているが普通です。技術担当VPは、管理責任もかなり負っています。開発ロードマップと雇用計画のすり合わせ、チームを成長させるための計画、リクルーティング、人材教育など技術管理チームの指南役も果たす必要があります。
このように技術担当VPの職責は、広く大きな視野が求められるものと、細部への配慮を要するものとが混在しています。
メンバーシップ型雇用の日本のメーカでの昇進イメージとしては、エンジニアから技術担当VPというのが、考えられる昇進のプロセスかと思いますが、この本にはその途中のキャリアラダーの説明があまりありませんでした。また、現実的に考えて技術系管理者の最高位まで昇進できない人もいると思います。そういった人たちはどのようなキャリアラダーを設計すべきかということを考えていた時に出会ったのが、2冊目の本である「ソフトウェアファースト 及川卓也著」という本です。
2冊目の本には、テックリードからCTOや技術担当VPに至るキャリアパスやはたまた別の技術系キャリアパスも含めた事例が紹介されていました。
私は、1冊目の本でとりあえず、テックリードという役割を理解した私は、この2冊目の本でキャリアラダーに対する理解を深めて、自分なりのキャリラダーを設計していくことになります。
(その2に続く)