イントラパーソナルダイバシティでレジリエンスを培う
ヨシミツダです。
最近知ったのですが、個人におけるダイバシティの概念として、イントラパーソナルダイバシティという考え方があるそうです。
個人においてもダイバシティを持つことは大事だよということなのですが、それはなぜかということについて考えてみました。
社会的な要請として
まず、イントラパーソナルダイバシティということばを調べると最近よく聞くリスキリングの文脈で紹介されているサイトをよくみかけます。
古い産業から、新しい産業への移行への対応や個人の能力の変化にともなうスキルの見直しという側面がありますが、企業側からのメッセージとしては、放置するとぶら下がり高給とりになる社員をなんとか再戦力化したいというところが、正直なところでしょう。
しかしこういった位置づけはイントラパーソナルダイバシティを一部の側面からしか捉えておらず、その効能を全て伝えきれていないようにも思えます。
職務特性理論と知の探索の理論
本業であるか副業であるかに関わらず、
「最初から最後まで業務に関われる」
「自分の業務が他人に与える影響を実感できる」
仕事ほど、モチベーションを高めやすいと言われています。職務特性理論に含まれる「タスクの完結性」や「フィードバック」のモデルがこれらに該当します。
個人のダイバシティを広げる一つの手段として副業やプロボノがありますが、このような活動は職務特性理論のモデルの効果を強化する働きがあるといえます。
さらに人は認知が狭く、意識しなければ目の前のことしか見えなくなってしまいます。自身の成長のためには自身の認知の外にでる必要があります。経営学では、「知の探索」と呼びます。人に限らず組織も「限定された合理性」の中で行動しており、本当はもっと有益な選択肢があるにも関わらず、認識できない状態になっています。
個人のダイバシティを広げることは、この知の探索を行うことにもつながります。
Awe体験のすすめ
知の探索をするにはどうしたらいいのでしょうか?発見するという意味を持つdiscoverは、覆い(cover)を外す(dis)という語源を持っていますが、まさに発見とは存在するけど、見えなかったものが見えるようになるという行為であると言えると思います。
存在しているけど、認知できてないことを発見することを行うためには何をしたら良いのでしょうか?
Awe体験
大自然や大宇宙の悠久さや広大さを前に、自分の存在の小ささを感じる体験を、脳科学ではAwe(オウ)体験と呼び、近年注目されています。脳はとても活性化された状態になるそうです。
Aweには畏怖の念というような意味があります。
大宇宙や自然は典型的な例ですが、例えばアーティストやアスリートの信じられないパフォーマンスを見た時の気持ちや、日常で感じる幸福な出来事もAwe体験と呼ぶことができるそうです。
Awe体験をすると自分の自我が小さくなり、謙虚な気持ちになるそうです。宇宙の悠久さや自然の広大さを前に「自分を小さい」と感じるとき、人は非常に謙虚な気持ちになり、そして素直に感謝の気持ちを持ちます。その結果、前向きにもなり「世の中のため、誰かのために役立ちたい」という思いを強くするというのです。このとき、脳は通常の何十倍も活性化するとのことです。
私は漫画を読んでいても、このAwe体験を感じる時があります。
「Days」という著名なサッカー漫画があるのですが、この漫画には背筋がゾクゾクするような名言がたくさんでてきます。
梁山戦で、梁山のキャプテン加藤が主人公の柄本つくしの驚異的な運動量に対して「なぜここにいるぅ?」という台詞をいうシーンがあるのですが、つくしの加速的な成長がいよいよ異次元になってきたことを感じて、ゾクゾクしたAwe体験でした。
このようにAwe体験は日常の様々な場面でが「発見」することができます。
前置きが長くなりましたが、Awe体験を意識することで、前述の知の探索につながる認知の外にでることができるのではないかと私は考えています。Awe体験はそのまま、イントラパーソナルダイバシティを強化することに繋がっているのです。
そして、ここからが本当に伝えたいことなのですが、イントラパーソナルダイバシティを持つことは、そのまま世界の認知を広げることにつながり、より高い世界の認識をもち日常を過ごすことが可能になります。
失敗や悩みもプロセスとして考えることができるようになり、そのため心理的なレジリエンスが高まるのです。
副業などをしてない方でも、まずはAwe体験からイントラパーソナルダイバシティを高めることをおすすめします。