*読了24冊目* 『水車小屋のネネ』
『水車小屋のネネ』津村記久子著 を読んだ。
山下理佐、 律という姉妹を中心に、彼女たちの成長を見守る隣人たち、そして忘れちゃならないヨウム(鳥)「ネネ」との物語。
ヨウムの寿命はおよそ50年だという。
そのうちの40年ほどを描く、、、というと、とても長く感じるが、小学生だった律が40代になる、それは意外とあっけない年月なんだなと思った。
理佐と律、若くして自立した姉と妹の生活が丁寧に丁寧に描かれていくのだが、その生活描写にのめり込んでいるうちに、気づくと人間の一生というものを俯瞰して見ていることに気づく。
40年のうちには辛い別れもたくさんあるのだが、それらも大きな流れの一つのように思えてくる。というか、静かに受け入れていけるような気持ちになってくる。
やがては理佐も律もネネも、読んでいる私も消えていくのだ。でもそれは悲しみではなく、みんなでひとつの大きな流れをつくっているんだ、小さなひとつひとつが消えたとしても大いなる流れはずっと続いていくのだ、そんな風に思わせられる作品だった。