退職して初めて考えた「ワタシの最適室温」
今年の3月末に退職して、家にいることが増えた。
そして最近、暑くなってきてエアコンを使うようになって初めて「自分に合った設定温度」について考えるようになった。
もちろん、働いている時にも毎日家には帰っていたし、エアコンも使っていた。でも、いつも慌ただしく、夏は「早く冷えろ~」と低めの設定温度でガンガンかけて涼しくなったらとめて、すぐに寝る時間になっていたりしていた。休みの日も、とにかく慌ただしく過ごしていたので、一定時間エアコンをつけ続けて設定温度を感じることなんてなかった。
今年の夏も、最初は今まで通り、そんな感じだった。
つまり、最初に低めに設定したり除湿に設定して、風量も強くして「早く冷えろ」と動かして、冷えたら消す、ということをしていた。が、長時間家にいると、つけたり止めたりするのが逆に面倒になった。「快適な温度に設定した方が楽では?」と初めて思えた。
そこで、「私にとって、快適な温度ってなんだろう?」と思った。
勤めている時には、職場全体で設定温度は決まっていた。電車だって、スーパーだって、そうだ。あとは自分で服装なりなんなりで調整して全体の設定温度に合わせる生活だった。エアコンを使っているとはいっても、天然の温度と一緒で、それを自由に決める権限は私にはない。そんな権限が与えられることなど一生ないような気がしていた。
が、退職して一日家にいるとなると、話は別だ。
設定温度を、私の一存で自由に決められる。まるで神。エアコンって、すばらしい。
私は初めて、何度が自分にとって最適なのかを、試行錯誤しながら考えていった。
一般的には、「節電のために冷房は28度にしましょう」となっている。が、最適温度はそうなのか?「節電のため」の温度と「自分にとっての最適温度」は違う。自分にとっての最適温度を知るのは大切なことではないか。そのくらいの権利はあっていいはずだ。が、考えたことなどなかった。「28度と決められている」と思考停止していた。自分にとっては、どうなのか?
まず、28度に設定してみた~けれど、暑い!26度に設定してみる。と、エアコンから遠い場所ではイイけれど、近い場所では寒い(><)部屋の空気をかきまぜるには…と思って、扇風機も使ってみた。でも、26度では、ずっとかけ続けていると寒くなってしまう。そこで、エアコンの設定温度や扇風機の強さや方向を色々と組み合わせて考えてみた。
結果、日によって少し違うけれど、だいたい「冷房は27度設定で、合わせて扇風機の強さを中にして使う」というのが私にとっての最適温度だとわかった。その設定なら、まず微調整しなくても半日くらい過ごせる。50年くらい生きてきて、初めてわかった。自分のことなのに、考えたこともなかった。
今まで、天然の天気のように誰かに決められた室温に従って、自分はそれに合わせる側だと思い込んで何の疑いもなく生きてきたことが恐ろしい。まぁ、みんながみんな、自分にとっての最適温度を主張し始めたら世の中大変なことになってしまうんだろうけど。よく講演会とかで「寒い方、暑い方などいらっしゃいましたら、係員にお声かけ下さい」と言うのを聞くたびに、「みんなが主張し始めたらどうするんだろう?それぞれが自己主張したら大変じゃないか」と思っていたけれど、自分の家で自分一人しかいない時間に自分が快適な温度は何度かということくらい知っておいてもいいと思った。小さな決定権だけれど、「自分を取り戻す」気分になれて、ちょっと嬉しい。