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人気ライター中村洋太さんが語る、SEOとインタビュー記事への想い

「この記事って、本当に誰かの役に立つのかな……?」

Webライターになってちょうど1年、ぼくは時折そんな風に思うことがあります。特に序盤はそんな仕事を引き受けることが多かったです。

近頃Webライターを始める方が増えてますが、その入り口となるのは「クラウドソーシング」と「SEO記事」が多いかと思います。ぼく自身もそうでした。

1年ほどSEO記事を書き続けるなかでたまに感じるのが、最初の疑問です。きっと、ぼくと似た思いを持つ新米ライターさんは多いはず。


そこで今回、SEO記事しか経験のない現状から一歩踏み出すため、ライターコンサルを行う中村洋太(@yota1029)さんにお願いして、インタビューの練習も兼ねてお伺いさせていただくことにしました。

中村さんは世界中で合計1万キロにも渡る自転車旅難病との闘病生活、その他にも多くの経験し難い実体験を数多く持っていて、それらの経験を生かした「自分にしか書けないオンリーワンの記事」を発信しています。そんな中村さんに、「SEOについての考え」「中村さんにとってインタビューとは何か」を伺いました。

⦅SEO記事とインタビュー記事⦆

― Twitterを拝見していると、中村さんはインタビュー記事に対して強い想いを持って発信しているように感じます。その一方で、SEOについてはほとんど発信されていないように思うのですが、SEOについてはどのようにお考えですか?

中村 : noteのエッセイでは基本的にSEOは一切無視して書いていますが、実はSEOを意識して書くこともあるんです。例えば、「台湾 自転車旅」って検索するとぼくのブログが一位に出てくるんですが、あれは狙って書いています。仕事でSEO記事にかかわることだってありますし、どんな目的でどんな記事を書くべきか、状況に応じて使い分けが大切ですね。ただし……

少し間を置いて、中村さんはこう続けます。

中村 : 初心者の方が「とりあえずSEOから始める」という風潮はちょっと怖いなと思っています。多くのSEO記事は、Googleの評価は良くても人が好む文体になっていない。どうしても似通ってしまって書き手の個性が薄まるんです。正直、ほとんどの記事は読んでいて面白くない。

― とってもわかります。実際、検索1位の記事ですら面白くないことはかなり多いですよね。

中村 : 「面白さ」のランキングではないですからね。それで、ぼくはSEOばかりが優先されるようになると、書き手全体の文章力が低下してしまうのではないかと危惧しています。パターン化された記事を書くことが多くなるし、インプットですら他人の書いたSEO記事にふれる機会が増えます。

それに加え、近年はスマホの影響もあってか読書量が減っているし、よく読まれる本も小説などの文芸作品よりも読みやすく編集されたビジネス書が多くなっています。ライターにとって大切な表現力や語彙力って、ビジネス書だけ読んでいてもきっとなかなか身につかないと思うんです。だからTwitterなどではいろんな本を紹介しています。書く文章についても、「自分にしか書けない文章を書こう」とずっと発信しているし、自分自身もライターとしてそうでありたい。だから場面によってSEOを意識することはあったとしても、「ぼくにとって最も大切なのは代替不可能な文章に書くことだ」と常に忘れないようにしています。

― なるほど、そうだったんですね! 中村さんも「SEOを意識することもある」というのは新鮮でしたが、Twitterの発信の裏側には、そのような思いがあったんですね。本当にその通りだと思います。

中村 : ただ実を言うと、インタビュー記事のノウハウに関するツイートが多いのは、単にコンサル生さんたちからインタビュー記事の添削を受けることが多いからってこともあるんですけどね笑

― あ、なるほど笑。それでは、インタビュー記事をよく添削されるなかで思うことはありますか?

⦅ライターがやるべきは編集。素材を調理すること⦆

中村 : 初心者の方が何も教わらずにインタビュー記事を書くと、質問と回答をただ並べるだけになってしまうことが多いんです。これだと読んでいてメリハリに欠けるし、「書き手が何を伝えたいのか」が読み手にまったく伝わってこない。つまりは読んでいてイマイチ面白くない。文字起こしをしてちょっと体裁を整えるだけの単純作業では、プロの仕事とは言えません。ライターがやるべき仕事は「編集」です。インタビューで得られた回答から素材を選りすぐり、調理しないといけない。水洗いした程度でお客さんに提供してはいけません(笑)

― 「編集」とは、具体的には?

中村 : 1時間のインタビューをしても、記事に使うのは実質3分の1くらいのことも多いです。例えば「今回のインタビューでは、最初の話と、中盤のあの話と、最後の話が特に面白かったな」と感じたら、その3つで構成を組み立てて、残りの部分はバッサリ切り捨ててしまうこともあります。"

― けっこうバッサリ切っちゃうんですね!

中村 : めちゃくちゃバッサリいきますよ。テーマや記事の目的に合わせて、「何を書かないか」を決めるんです。自分が面白いと思わないものは、読者が読んでも面白くないですからね。読者が読みたいのは、面白いことだけが凝縮された、読み始めたら最後まで惹き込まれるような文章です。そこまで盛り上がらなかった話が混じってしまうと文章に惹き込まれず、結果的に「微妙な記事だった」という印象になってしまいます。だから、本当に面白いところだけを厳選するんです。そうすることで読者も喜んでくれるし、インタビューを受けた人にとっても嬉しい記事になります。もちろんそれは書いた自分にとっても価値のある記事になります。

"良いインタビュー記事"は、インタビューされた本人が心から喜んでくれて、嬉しいからシェアしたくなる、そんな記事だと思っています。

― 以前中村さんが書かれていた「三方良し、四方良し」のライティングですね! では、最後にひとつ聞かせてください。中村さんにとって『インタビューとは?』

中村 : 『情熱大陸』みたいな質問ですね笑。そうですね……。それをお伝えするために、ぼくがインタビューを始めたキッカケについてお話しましょうか。

⦅中村さんがインタビューを始めたキッカケ⦆

中村 : ぼくが最もインタビューをしてたのは、まだ会社員だった頃です。2014〜2016年頃かな。仕事にある程度慣れてきて、将来のことに悩んでいた時期ですね。「どうしたら自分の好きなことを仕事にできるんだろう?」と。ぼくはもっと自発的に生きたかったんです

なんとかして突破口を見つけたかった。それで、自分の周りにいた "好きなことを仕事にしている人たち" に話を聞きにいこうと考えました。「会社を辞めて独立したのって怖くなかった?」とか「好きなことを仕事にしてみてどう?」とか。そしたら、どの人と会っても、みんなそれぞれに一生懸命で、仕事や人生を楽しんでいて、目がキラキラしていました

ぼくも、そういう風になりたかった。そんな人たちに50人、100人と会っていく中なかで、どんどん感化されていったんです。「こんないい話を聞けて、こんなに感化されて、これをぼくの中だけで終わらせていいのか?」。終わらせられなかったんですよ。

「いい話だったなー!!」と感動した直後には、もう文章を書いていました。頭で考えるよりも先に手が動いていた。この素晴らしい話を、素敵な生き方をしてる人たちのことを、伝えたくて仕方なかった。そのパッションを文章に込めたんです。それを自分のブログやFacebookに載せていったことが、ぼくのインタビューライターとしての原体験です。

⦅中村さんにとって『インタビューとは?』⦆

中村 : インタビュー記事って、2段階ありますよね。まず、ぼくが誰かの話を聞いて感化される。自分が変わっていく。そしてその感動をシェアすることで、今度は読んだ誰かが感化され、心が動く。だから先ほどの質問に答えるなら、『インタビューとは、まず自分が心を動かされ、その感動を多くの人に伝播させること』じゃないかな、と思います。

⦅中村さんが語る「インタビュー最大の秘訣」⦆

中村 : まずは自分が感動しないと、人の心は動かせない。だからインタビュー記事で一番大事なのは、「自分が本当に会いたい人、心から興味を持っている人に会う」ことだと思います。自分から、会いたい人に会いにいきましょう。依頼されるのを待つんじゃなくて。

― ちなみに、中村さんも初期の頃はTwitterなどで直接メッセージを送って交渉してたんですか?

中村 : Facebookでメッセージ送りまくっていました。もちろん知り合いじゃない方にも。こういうとき、「ライター」という肩書きは便利です。いきなりインタビューの依頼をしても不自然に思われませんから。そもそも、著名な方とかでなければ「インタビューさせてください」と言われて嫌がる人は少ないので、割と高い確率で会ってくれると思いますよ。ぜひやってみてください!

編集後記

この記事はそれなりに体裁よくまとまっている風に書いていますが、正直に言えば「ぼくのセリフ」にはかなり脚色が入ってます(^^; 

こんなスルスルと流れるような質問なんてまったくできてなくて、ほとんど中村さんのトーク力のおかげです。練習とはわかっていても初めてのインタビューは緊張しましたし、事前の準備も足りず反省点ばかりでした(教えの通り、そこはバッサリいきました笑 )

しかしだからこそやってよかったな、と本当に思います。ただの「インタビューの練習」ではなく、ライターとしてもコンサルとしても豊富な経験を持つ中村さんの貴重なお話やアドバイスまでついた練習です。非常に有意義な時間でした。

今回お聞きした内容は、多くのWebライターから支持を集める「Webライターが単価を高めるためのアドバイス(完全版)」で中村さんが書かれたことにも多く通じるものでした。ぼくと同じような悩みをお持ちのライターさんには是非この記事も読んでほしいと思います。

また、中村さんは「インタビューは場数が大事」ともおっしゃっていました。ちょうどぼくもインタビュー記事を受注したところです。これを機にもっともっと自発的に動いてさらに経験値を積んでいきたい。そう思う次第です。

(もしいきなりぼくからDM来たら、ぜひインタビューさせてくださいね!笑)

中村さん、この度は貴重なコンサルありがとうございました!

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