読書:『時計坂の家』高楼方子
書名:時計坂の家
著者:高楼方子(イラスト:千葉史子)
出版社:福音館書店
発行日:2016/10(リブリオ出版:1992/10)
http://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1807
12歳の少女の10日間の冒険です。
扉を開けたら……系のバリバリのファンタジーですが、面白いことに実はアンチファンタジーでもあるんですね。
登場人物のひとりは、実際、わしゃこういうのは好かん、と言ってのけます(※こんな口調ではない)。「こういうの」というのは扉の向こうのファンタジー世界のことです。
物語自体も、扉の向こうの世界よりも、現実世界のほうがほとんど。扉の向こうに入るまでの比率の方が大きい。
そして、クライマックスも、ね……。扉を閉ざし、しっかりと現実に足をつけることになる。
それにしてもお祖母さんや、"落ちて"しまった人たちは、それからどうなってしまったのでしょう。死んだという単純なことではなさそうな気がしたのだけど。落ちたその先はどうなっているのでしょう。気になります。ほかにも謎はいろいろと残されていますね。
ところで作品のあちこちから『秘密の花園』っぽい香りがぷんぷんしました。それと村岡花子。
扉の向こうが花園なのは言うに及ばず。作品のなかに出てくる同人誌が花○○というタイトルであったり。花○さんという人も登場したり。考えすぎでしょうか。
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